病気の解説
卵巣過剰刺激症候群
別名:OHSS
緊急性の高い症状
不妊治療で排卵を促す薬を使ったあとに、次のような変化があれば、すぐに治療を受けている医療機関に連絡してください(厚生労働省・PMDA)。
- おなかが張る、ウエストが急にきつくなった
- おなかが痛む
- 吐き気が続く、吐いてしまう
- 短い間に体重が急に増えた
- 尿の量が減った
とくに息が苦しいときは、胸やおなかに水がたまる重い状態でみられる症状とされており(厚生労働省・PMDA)、夜間や休日でもためらわず受診してください。連絡がつかず息苦しさが強いときは119番で救急車を呼んでください。
出典:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」(PMDA掲載)
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 排卵誘発の注射や飲み薬を使っている、または使ったあとに、上のような症状が少しでも出たとき
- のどが渇く、むくむなど、いつもと違う体の変化が続くとき
- 妊娠がわかったあとに、おなかの張りや吐き気が強くなったとき(妊娠すると症状が重く長引きやすいとされます)(厚生労働省・PMDA)
まずは不妊治療を受けている医療機関(産婦人科・生殖医療の外来)に連絡します。状態によってはより大きな病院へ紹介されることがあります(厚生労働省・PMDA)。おなかの張りや吐き気はほかの病気や妊娠初期にも起こるため、症状だけでこの病気かどうかを判断することはできません。
基本
卵巣過剰刺激症候群とは
不妊治療で使う排卵を促す薬(排卵誘発薬)によって卵巣が刺激されすぎ、卵巣が大きく腫れたり、おなかや胸に水がたまったりする状態です。英語の頭文字から「OHSS」とも呼ばれます(厚生労働省・PMDA)。多くは軽くすみますが、重くなると腎臓の働きが落ちたり、血の塊(血栓)ができたりするなど、命にかかわる合併症につながることがあります(厚生労働省・PMDA)(MSDマニュアル家庭版で確認)。
主な症状
- はじめのうち:卵巣が腫れておなかに水がたまるため、おなかの張り、体重や腹囲の増加がみられます。続いて下腹部の痛み、吐き気、嘔吐が起こることがあります(厚生労働省・PMDA)。
- 体の水分のかたより:血管から水分が外に漏れ出し、血液が濃くなるため、のどの渇きや尿の量の減少が起こります(厚生労働省・PMDA)。
- 重くなると:おなか全体が張りつめるほどの腹水や、胸に水がたまることによる息苦しさが出てきます(厚生労働省・PMDA)。
排卵の引き金として使われる薬(hCG製剤)を使ったあとに起こりやすいとされます(厚生労働省・PMDA)。
原因・なりやすい要因
排卵誘発薬により、腫れた卵巣から女性ホルモンなどが多く出て、血管から水分が漏れやすくなることが原因と考えられています(厚生労働省・PMDA)。体外受精などで多くの卵を育てる治療は、一般的な排卵誘発よりも起こりやすいとされます(厚生労働省・PMDA)。
次のような人は起こりやすいとされています(厚生労働省・PMDA)。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある
- 血液検査でAMH(抗ミュラー管ホルモン)が高い
- 年齢が若い、やせている
- 以前にも卵巣過剰刺激症候群になったことがある
- 育つ卵胞の数や採れる卵の数が多い
- 治療の結果、妊娠した
検査と診断
診断
症状を確かめたうえで、超音波検査で卵巣の大きさや腹水の量をみて、血液検査で血液の濃さやたんぱく質の量などを調べ、重さの程度を判断します。その結果で、外来での経過観察か入院が必要かが決められます(厚生労働省・PMDA)。
治療
治療
軽い場合は経過をみながら様子を確認します。重い場合は入院し、点滴で血液の濃さを整えて尿が出るようにする治療や、必要に応じてたまった水を抜く処置などが行われます(厚生労働省・PMDA)。原因となった薬をやめることで良くなることもあるとされます(厚生労働省・PMDA)。
経過と生活
予防
起こりやすい人には、薬の量を少しずつ増やす方法や刺激の弱い薬を選ぶ、排卵の引き金に使う薬の種類やタイミングを変える、受精卵をいったんすべて凍結して移植を次の周期に回す、といった工夫がとられます(厚生労働省・PMDA)(MSDマニュアル家庭版で確認)。PCOSがある、AMHが高いといわれた人は、治療を始める前に担当医とリスクについて話しておくと安心です。
産婦人科で扱うほかの病気
出典
厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」(PMDA掲載) / MSDマニュアル家庭版「排卵の問題」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。