病気の解説
急性心筋炎
緊急性の高い症状
心筋炎は、ときに急激に悪化して命に関わることがあります(奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター)。次のようなときは、ためらわず119番に連絡するか、すぐに医療機関を受診してください(NHLBI)。
- 胸の痛みがある
- ひどい息苦しさがある
- 症状がどんどん悪くなっている
動悸や気を失う、急に重い不整脈が起こるといった症状が最初に現れることもあります(MSDマニュアル)。
出典:NHLBI「Heart Inflammation – Symptoms」、MSDマニュアル家庭版「心筋炎」、奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター 報道発表資料(2022年)
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- かぜやおなかの不調などのあとに、胸の痛みや不快感、動悸(心臓がどきどきする、速く打つ)が出てきたとき(NHLBI)
- 以前より疲れやすい、少し動いただけで息が切れる、足がむくむといった変化があるとき(NHLBI)(MSDマニュアル)
- 心筋炎と診断されて治療を受けた後に、発熱や寒気、息苦しさ、いつもと違うだるさ、足のむくみが出たとき(NHLBI)
相談先は循環器内科です。胸の痛みや息切れは心筋梗塞など他の心臓の病気でも起こり、症状だけで病名を判断することはできません(MSDマニュアル)。
基本
急性心筋炎とは
心臓を動かしている筋肉(心筋)に炎症が起こる病気です(NHLBI)(MSDマニュアル)。感染などをきっかけに起こり、ほとんど症状のない軽いものから、心臓の働きが急に保てなくなる重いものまで、重症度に大きな幅があります(奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター)。急激に血液の循環が保てなくなり、命に関わる経過をたどるものは「劇症型心筋炎」と呼ばれ、まれですが重い病気とされています(奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター)。
主な症状
- 胸の痛みや不快感(NHLBI)
- 動悸、脈の乱れ(不整脈)(NHLBI)(MSDマニュアル)
- だるさ、息苦しさ、運動がつらくなる(NHLBI)
- 足などのむくみ(MSDマニュアル)
- 発熱、筋肉の痛み、発疹など(NHLBI)(MSDマニュアル)
症状は急に出ることも、ゆっくり出ることもあります。かぜのような症状やおなかの不調のあと、数週間たってから現れることもあります(NHLBI)。原因となった感染症の症状に隠れて、心臓の症状に気づきにくいこともあります(NHLBI)。
原因・なりやすい要因
- ウイルス感染:最も多い原因とされ、かぜやインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの原因となるウイルスが挙げられています(NHLBI)(MSDマニュアル)。
- その他の感染:細菌、寄生虫、まれにカビ(真菌)によるものもあります(NHLBI)。
- 自己免疫の病気:膠原病などに伴って起こることがあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
- 薬や物質:一部の薬、がん治療に使う薬、アルコールの大量摂取、違法薬物などが原因になることがあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
- ワクチン:まれに、ワクチン接種のあとに起こることがあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
原因がわからないことも少なくありません(MSDマニュアル)。若い成人に多く、自己免疫の病気が原因の場合を除くと男性に多いとされます(NHLBI)。
検査と診断
診断
診察だけでははっきりしないことが多く、検査を組み合わせて判断します(NHLBI)。心電図、血液検査(心筋が傷ついたときに増える物質や炎症の程度を調べる)、心臓超音波検査、心臓MRI、胸部エックス線検査などが行われます(NHLBI)(MSDマニュアル)。心筋梗塞と見分けるために心臓カテーテル検査を行うことや、診断がつかない場合に心筋の一部を採って調べる検査(心筋生検)を行うこともあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
治療
治療
治療は原因と重症度によって変わります(MSDマニュアル)。
- 心臓の働きを助ける治療:心不全の症状があれば、むくみや息苦しさを和らげる薬などを使います(MSDマニュアル)。
- 不整脈の治療:薬を使い、不整脈が続く場合はペースメーカーが必要になることもあります(MSDマニュアル)。
- 原因に応じた治療:薬が原因であればその薬を中止し、特定のタイプの心筋炎では炎症や免疫を抑える治療が行われます(MSDマニュアル)。
- 重い場合:劇症型では、血圧を保つ薬や、機械で心臓の働きを補助する治療が必要になります(奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター)。回復が難しい場合には補助人工心臓や心臓移植が検討されることもあります(MSDマニュアル)。
日常生活の注意・セルフケア
医療機関の指示を最優先にしてください。
- 運動の再開は、医師から安全と言われるまで控えましょう(NHLBI)。
- 退院後も定期的に受診し、心臓超音波検査やMRIなどで経過をみてもらいます(NHLBI)。
- 心不全や不整脈の薬を処方されている場合は、自己判断でやめないでください(NHLBI)。
経過と生活
経過
軽いうちに自然に治まるものもあれば(NHLBI)、心不全や不整脈を起こしたり、まれに心臓が急に十分な血液を送り出せなくなったりすることもあります(NHLBI)。心臓の筋肉が広がって働きが落ちる「拡張型心筋症」に移っていくことがあり(MSDマニュアル)、何年もたってから再び起こることもあるとされます(NHLBI)。
循環器内科で扱うほかの病気
出典
NHLBI「Heart Inflammation – Myocarditis」(Causes・Symptoms・Recovery) / MSDマニュアル家庭版「心筋炎」 / 奈良県立医科大学・国立循環器病研究センター 報道発表「劇症型心筋炎の全国レジストリ」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。