病気の解説
慢性肺性心
受診の目安
- COPDなど肺の持病がある方で、動いたときの息切れが前より強くなった、疲れやすい、動いたときにふらつく、足がむくむ、おなかが張るといった変化があるときは、早めに主治医に相談してください(MSDマニュアル家庭版)。相談先は循環器内科や呼吸器内科などです。
- お子さんで、肺の病気(早産で生まれた後の慢性肺疾患など)があり、息苦しさやむくみ、唇の色が悪いなどの変化があるときは、かかっている小児科に相談してください(小児慢性特定疾病情報センター)。
- 肺性心と診断されている方は、薬の調整(利尿薬など)は自己判断で変えず、担当の医師と相談してください(MSDマニュアル家庭版)。
息切れやむくみは、ほかの心臓や肺の病気でも起こり、症状だけで病名は判断できません。急に強い息苦しさが出たときや、急に具合が悪くなったときは、ためらわず救急外来を受診するか119番に連絡してください。
基本
慢性肺性心とは
肺性心は、肺の病気が原因で肺の動脈の血圧が高くなり(肺高血圧)、肺へ血液を送る右心室に負担がかかって大きく厚くなり、最終的に心不全(右心不全)に陥った状態です(MSDマニュアル家庭版)。左側の心臓の病気、生まれつきの心臓の病気、心臓の弁の病気によるものは含めません(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
多くは長い時間をかけて進む慢性の経過をとりますが、大きな肺塞栓症などで急に起こる場合もあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
原因
- 大人で最も多い原因は慢性閉塞性肺疾患(COPD)です(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- そのほか、肺塞栓症、膠原病などの結合組織の病気、肺の線維化(間質の病気)、肥満による呼吸の弱さ、背骨の強い曲がり(側弯症)、呼吸の筋肉が弱る神経や筋肉の病気などが原因になります(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 子どもでは、長く人工呼吸を受けた低出生体重児にみられる慢性の肺の病気(気管支肺異形成など)、高度の扁桃肥大、肺の感染症、喘息などが原因になります。ただし、右心不全まで進むことは比較的まれとされています(小児慢性特定疾病情報センター)。
血液中の酸素が少ない状態が長く続くと、肺の動脈が縮んで壁が厚くなり、肺の血圧が上がります(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
- 初めのうちは症状がほとんどなく、元の肺の病気の症状(動いたときの息切れ、疲れやすさ)が中心です(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 進むと、動いたときのふらつき、疲労感、息切れが目立ってきます(MSDマニュアル家庭版)。
- 右心不全になると、足のむくみ、首の静脈のふくらみ、肝臓の腫れ、おなかの張りなどがみられます(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 子どもでは、胸の痛み、息苦しさ、血の混じった痰、チアノーゼ(唇などが紫色になる)、むくみなどが挙げられています(小児慢性特定疾病情報センター)。
検査と診断
検査・診断
肺の病気がある人で疑われ、聴診で右心室に負担がかかったときの心音、首の静脈のふくらみ、足のむくみなどを確認します(MSDマニュアル家庭版)。胸部X線検査、心電図、心エコー検査、心臓MRI検査などで右心室や肺動脈の状態を調べ、必要に応じて心臓カテーテル検査で心臓や肺動脈の圧を測ります(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
治療
治療
- 治療の中心は、原因となっている肺の病気の治療です(MSDマニュアル家庭版)(小児慢性特定疾病情報センター)。心臓の形の変化が元に戻らなくなる前に、早く見つけて治療することが大切とされます(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 血液中の酸素不足を改善することを目指します(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- むくみをとる利尿薬が使われることがありますが、水分を減らしすぎると右心室がかえって血液を送りにくくなるため、慎重に使います(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 肺塞栓症を防ぐため、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)が長く使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 肺の血圧を下げる薬が使われることもありますが(MSDマニュアル家庭版)、肺性心では効果が限られるとする見解もあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
どの治療を行うかは、原因の病気と状態に応じて医師が判断します。
経過と生活
合併症
右心室の働きが落ちると血液の流れが遅くなり、脚に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が肺に流れると肺塞栓症という危険な状態を起こすことがあります(MSDマニュアル家庭版)。
経過
経過は主に、原因となっている肺の病気によって決まるとされ、心不全や肺高血圧に対する治療は補助的な役割とされています(小児慢性特定疾病情報センター)。
循環器内科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「肺性心」 / MSDマニュアル プロフェッショナル版「肺性心」 / 小児慢性特定疾病情報センター「慢性肺性心」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。