病気の解説
神経梅毒
緊急性の高い症状
- 梅毒と診断されている、または感染の心当たりがある人に、目の痛み・見え方の変化・視力の低下などの目の症状が出たとき
目に梅毒が及ぶと、視力が落ちたり、失明が残ったりすることがあり、疑われる場合はただちに眼科での診察が必要とされています(CDC)。
出典:CDC「Neurosyphilis, Ocular Syphilis, and Otosyphilis」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 梅毒の治療を受けたことがある、または感染の心当たりがある人に、ひどい頭痛、首のこわばり、物忘れ、性格や行動の変化などが現れたとき
- 手足のしびれ、ふらつき、力が入りにくいといった神経の症状が出てきたとき
- 急に聞こえにくくなった、耳鳴りやめまいが続くとき
- 梅毒と診断され、HIVの検査をまだ受けていないとき
相談先は感染症内科や脳神経内科です。目の症状は眼科、耳の症状は耳鼻咽喉科とも連携して診ることになります(CDC)。これらの症状は他の多くの病気でも起こるため、症状だけで神経梅毒かどうかは判断できません。受診時には、性感染症の既往や心当たりを医師に伝えることが診断の助けになります。
基本
神経梅毒とは
神経梅毒は、梅毒の原因となる細菌(梅毒トレポネーマ)が脳や脊髄などの神経に入り込んで起こる状態です(CDC)。梅毒のどの時期にも起こりうるとされ、感染して早い時期に現れるものと、長い年月がたってから現れるものがあります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。目や耳に病変が起こる場合もあり、目に及んでいると神経梅毒の可能性も高くなるとされます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
症状がまったくなく、検査で初めて見つかることもあります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。症状が出る場合は、どこが障害されるかによって大きく異なります。
- 早い時期に出やすいもの:頭痛や首のこわばりなど髄膜炎のような症状、顔などを動かす神経の麻痺、脳梗塞、意識や精神状態の変化(CDC)。
- 脳そのものが障害されるもの:記憶力や判断力の低下、気分の変動、思い込み、ふるえなど、認知症に似た症状(MSDマニュアル家庭版)。
- 脊髄が障害されるもの:背中や脚を刺すような痛み、足の感覚が鈍くなる、足元がおぼつかない歩き方、排尿のトラブルなど(MSDマニュアル家庭版)。
- 目や耳の症状:視力の低下、聞こえの低下、耳鳴り、めまい。聞こえの低下は片耳にも両耳にも起こり、急に進むことがあります(CDC)。
原因・なりやすい要因
梅毒は主に性的な接触でうつる感染症です(厚生労働省)。梅毒が治療されないまま続くと、何年もたってから脳や血管などに病変が生じることがあります(厚生労働省)。HIVに感染している人では神経梅毒が起こりやすいとされ、梅毒と診断された人にはHIVの検査も勧められています(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
梅毒そのものは血液検査(抗体検査)で調べます(厚生労働省)。神経梅毒が疑われる場合は、腰に細い針を刺して脳や脊髄のまわりの液(髄液)を採り、梅毒の影響があるかを調べます(MSDマニュアル家庭版)。神経の症状がある人では、治療の前にこの髄液検査を行うことが勧められています(CDC)。
治療
治療
- 抗菌薬:ペニシリン系の抗菌薬で治療します。神経梅毒では、注射や点滴で一定期間しっかり投与する方法がとられます(MSDマニュアル家庭版)(厚生労働省)。
- 治療開始直後の反応:薬を使い始めて間もなく、発熱・頭痛・寒気などが一時的に出ることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 治療後の確認:感染が消えたことを確かめるため、診察と検査を間隔をあけて繰り返します(MSDマニュアル家庭版)。
性的なパートナーも検査や治療を受けることが大切です。治療が終わるまでは性的な接触を避けるよう勧められています(厚生労働省)(MSDマニュアル家庭版)。
経過と生活
予防
コンドームの使用は梅毒の予防に有効とされています。検査を受けて早く見つけ、早く治療することも予防につながります(厚生労働省)。一度治っても再び感染することがあるため、治ったあとも注意が必要です(厚生労働省)(MSDマニュアル家庭版)。
経過
早く見つけて治療すれば、取り返しのつかない障害が起こる前に治せるとされます。一方で、すでに脳などに生じた障害は、治療しても元に戻らないことがあります(MSDマニュアル家庭版)。目や耳の障害も、残ってしまう場合があります(CDC)。
感染症内科で扱うほかの病気
出典
CDC「Neurosyphilis, Ocular Syphilis, and Otosyphilis」 / 厚生労働省「梅毒」 / MSDマニュアル家庭版(英語版)「Syphilis」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。