病気の解説
網膜動脈閉塞症
緊急性の高い症状
- 片方の目が、痛みもなく突然暗くなった、見えなくなった、視野の一部が欠けたとき
網膜動脈閉塞症は、発症から短い時間で網膜の細胞が傷んでしまうため、急いで対応が必要な「眼科の救急疾患」とされています(日本眼科学会)。夜間や休日であっても、ためらわずに救急対応のできる医療機関に連絡し、眼科の診察を受けてください。
数分から数十分で見え方が元に戻った場合も、脳梗塞の前ぶれの可能性があるため、詳しい検査が必要とされています(日本眼科学会)。
出典:日本眼科学会「網膜中心動脈閉塞症」、MSDマニュアル家庭版「網膜中心動脈閉塞症と網膜動脈分枝閉塞症」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
相談先は眼科です。片目の急な見えにくさは、網膜剥離や眼底出血、脳の病気などでも起こり、症状だけで病名を判断することはできません。急な視力の変化があれば、自己判断で様子を見ずに受診してください。
高血圧・糖尿病・脂質異常症などで治療中の方や、心房細動など心臓の病気がある方は、日頃からその管理を続けることが大切です(日本眼科学会)。
基本
網膜動脈閉塞症とは
目の奥にある網膜(カメラのフィルムにあたる部分)に、酸素や栄養を運ぶ動脈が詰まる病気です(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。おおもとの網膜中心動脈が詰まる「網膜中心動脈閉塞症」と、途中で枝分かれした血管が詰まる「網膜動脈分枝閉塞症」があります(日本眼科学会)。中心の動脈が詰まると網膜全体の血流が止まり、重い視力障害が残ることが多いとされます(日本眼科学会)。
主な症状
- 多くは片方の目に、痛みのない突然の見えにくさが起こります。目の前が暗くなったように感じ、視力が大きく下がります(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。
- 枝の血管が詰まった場合は、視野の一部が見えにくくなります(日本眼科学会)。
- 血流が短い時間で自然に戻ると、見え方が一時的に回復することがあります(一過性黒内障)(日本眼科学会)。
原因・なりやすい要因
首の血管などにできた血のかたまりやコレステロールのかたまりが流れてきて、目の血管に詰まることが主な原因です(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。その背景には、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病があります(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。
心房細動などの心臓の病気や、首の動脈(頸動脈)の動脈硬化が原因になることもあります(日本眼科学会)。若い人では、膠原病などの自己免疫の病気や、血液が固まりやすい体質が関わることがあります(日本眼科学会)。血管に炎症が起こる巨細胞性動脈炎が原因になることもあり、この場合は早く治療を始めることが大切とされます(MSDマニュアル)。
検査と診断
診断
眼底検査で網膜の状態を確認し、網膜の断面を撮影する検査(OCT)や、造影剤を使って血管の詰まり方を調べる検査を行います(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。あわせて、詰まりの原因を探すために、首の血管の超音波検査、心臓の超音波検査、血液検査などの全身の検査が行われます(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。
治療
治療
時間がたつほど網膜の傷みが進むため、できるだけ早く治療を始めることが重要です(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。発症後早い時期には、詰まりを流すことを目指して、次のような処置が試みられます(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。
- 眼球のマッサージ
- 眼圧を下げる目薬や飲み薬、目の中の水を少し抜く処置
- 酸素の吸入や、血管を広げる薬の使用
ただし、こうした治療をしても視力が十分に戻らないことが多いとされています(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。巨細胞性動脈炎が疑われる場合は、炎症を抑える薬(ステロイド)がすぐに使われます(MSDマニュアル)。
経過と生活
経過
- 枝の血管が詰まった場合は、比較的よい視力を保てることが多い一方、中心の動脈が詰まった場合は視力障害が重く、回復しないことがあるとされます(MSDマニュアル)(日本眼科学会)。
- 経過の中で、目の中に異常な血管ができて眼圧が上がる「血管新生緑内障」が起こることがあるため、定期的に眼科で経過を見てもらう必要があります(日本眼科学会)(MSDマニュアル)。
- 網膜の動脈が詰まった人は、脳の血管も詰まりやすく、脳卒中の危険が高まるとされます(MSDマニュアル)。再発や脳梗塞を防ぐため、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの病気をしっかり管理することが大切です(日本眼科学会)。
眼科で扱うほかの病気
出典
日本眼科学会「網膜中心動脈閉塞症」 / MSDマニュアル家庭版「網膜中心動脈閉塞症と網膜動脈分枝閉塞症」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。