病気の解説
肺性心
緊急性の高い症状
胸の痛みと息苦しさが同時にあるときは、心筋梗塞や肺の血管に血のかたまりが詰まる病気(肺塞栓症)のおそれがあり、救急の受診が必要とされます(NHLBI)。ためらわず119番に連絡してください。
出典:NHLBI「Pulmonary Hypertension – Symptoms」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 足やくるぶしのむくみ、お腹の張り、体重が急に増えるといった変化があるとき(NHLBI)(MSDマニュアル)
- 首の静脈がふくれて見える、お腹や首のあたりが張った感じがするとき(NHLBI)(MSDマニュアル)
- 体を動かしたときの息切れやふらつき、強いだるさが続くとき(MSDマニュアル)
- COPDなど肺の病気で治療中の人が、以前より息切れやむくみが強くなったとき(MSDマニュアル)
相談先は循環器内科または呼吸器内科です。肺の病気で通院中の人は、まず主治医に相談してください。むくみや息切れは心臓・腎臓・肝臓などのさまざまな病気でも起こり、症状だけで病名を判断することはできません。
基本
肺性心とは
肺そのもの、または肺の血管の病気が原因で、心臓の右側(右心室)に負担がかかり、右心室が大きく厚くなって、やがて心不全に至る状態です(MSDマニュアル)。心臓の右側は、体から戻ってきた血液を肺へ送り出す役割を担っています(MSDマニュアル)。肺の病気によって肺の動脈の血圧が高くなる(肺高血圧)と、右心室は強い力で血液を押し出さなければならなくなり、その状態が続くことで心臓が傷んでいきます(NHLBI)(MSDマニュアル)。つまり肺高血圧は肺性心の原因であり、肺性心は肺の病気が心臓にまで影響した結果といえます。
主な症状
心不全になるまでは症状がほとんどないことも多いとされます(MSDマニュアル)。右心不全が進むと、次のような症状が現れます。
- 足やくるぶし、お腹のむくみ、首の静脈のふくらみ(NHLBI)(MSDマニュアル)
- 体重の増加(NHLBI)
- 吐き気、食欲の低下、お腹の痛み、少し食べただけでお腹がいっぱいになる(NHLBI)(MSDマニュアル)
- だるさ、体を動かしたときの息切れやめまい(MSDマニュアル)
高齢の人では、息切れよりも、だるさやぼんやりする、転びやすいといった形で現れることがあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
原因・なりやすい要因
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):肺性心の原因として最も多い肺の病気とされます(MSDマニュアル)(NHLBI)。
- その他の肺の病気:肺が硬くなる病気(間質性肺疾患、肺線維症)、睡眠時無呼吸などが肺高血圧につながることがあります(NHLBI)(MSDマニュアル)。
- 肺の血管の病気:肺の血管に血のかたまりが詰まる病気(肺塞栓症)なども原因になります(MSDマニュアル)(NHLBI)。
- その他:膠原病や、高度の肥満で呼吸が浅くなる状態なども挙げられています(MSDマニュアル)。
血液中の酸素が少ない状態が続くと、肺の動脈が縮んで壁が厚くなり、肺の血圧が上がると考えられています(MSDマニュアル)。なお、左側の心臓の病気(左心不全)が原因で右心室が大きくなった場合は、肺性心とは区別されます(MSDマニュアル)。
検査と診断
診断
診察で、首の静脈のふくらみ、足のむくみ、心臓の音の変化などを確かめます(MSDマニュアル)。胸部エックス線検査で右心室や肺動脈の拡大を調べ、心臓超音波検査や心臓MRIで右心室の大きさや働きを評価します。必要に応じて、心臓カテーテル検査で肺の動脈の血圧を直接測ることもあります(MSDマニュアル)。あわせて、原因となっている肺の病気を調べます。
治療
治療
- 原因となる肺の病気の治療:治療の中心は、COPDなどもとになっている肺の病気の治療です(MSDマニュアル)。
- むくみを減らす薬:利尿薬で体にたまった水分を減らしますが、効きすぎると右心室の働きをかえって悪くすることがあるため、慎重に使われます(MSDマニュアル)。
- 肺の血管を広げる薬:肺の動脈を広げる薬が使われることがあります(MSDマニュアル)。
- 血液を固まりにくくする薬:肺塞栓症が起こりやすくなるため、長く使われることがあります(MSDマニュアル)。
- 不整脈の治療:重い不整脈には薬で対応します(MSDマニュアル)。
日常生活の注意・セルフケア
医療機関の指示を最優先にしてください。むくみや体重の増え方は病状の変化の手がかりになるため、主治医に言われた方法で体重などを記録し、急な変化があれば相談しましょう(NHLBI)。もとになっている肺の病気の治療を続けることが大切です(MSDマニュアル)。
呼吸器内科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「右心不全/肺性心」 / NHLBI「Heart Failure – Causes」・「Symptoms」 / NHLBI「Pulmonary Hypertension – Causes」・「Symptoms」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。