病気の解説
骨盤骨折
緊急性の高い症状
交通事故や高い所からの転落など強い衝撃によるけがでは、出血が多く命にかかわることがあるため、すぐに119番で救急車を呼んでください。
出典:OrthoInfo(米国整形外科学会): Pelvic Fractures、MedlinePlus: Fractures
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
骨盤骨折は、交通事故や高所からの転落など強い力が加わったときのほか、骨がもろくなった高齢の方では、立った高さからの転倒や日常の動作でも起こることがあります。
- 転倒やけがのあとに、股関節(足の付け根)のあたりの強い痛み、歩くと痛みが強くなる、腫れやあざがあるときは、すぐに医療機関(整形外科、救急外来)を受診してください。
症状だけで病名を判断することはできません。自己判断せず、医師の診察を受けてください。
出典:OrthoInfo(米国整形外科学会): Pelvic Fractures、MedlinePlus: Fractures
基本
概要
骨盤骨折は、骨盤の輪を作る複数の骨が折れる状態です。骨盤輪が破綻する場合と破綻しない場合があり、2カ所以上の骨折で輪が破綻すると“不安定性”が生じます。
主な症状
多くの人は鼠径部や腰の痛みを感じます。恥骨結合の圧迫や両側の上前腸骨棘の同時圧迫は痛みを伴い、不安定性を示すことがあります。重症度により歩けることも歩けないこともあります。泌尿生殖器や婦人科の損傷の兆候としては、外尿道口の血液・血腫・血尿・無尿・前立腺の高位・性器出血などが挙げられます。腸管・直腸の損傷は腹痛や腹部痛、下血、腹膜炎の発生を引き起こす可能性があります。神経損傷では下肢や会陰部の筋力低下・感覚・反射の低下や尿失禁・尿閉がみられることがあります。
検査と診断
診断
診断には単純X線と通常は単純CTが用いられます。痛みのある部位や重度の外傷がある場合は骨盤骨折を疑います。X線では前後像で骨折が多く見つかり、転位があると骨盤輪の破綻が示唆されます。必要に応じて寛骨臼を描く特別なX線(Judetビュー)が使われることがあります。CTは感度が高く、高エネルギー損傷時には全ての骨片や合併損傷を特定します。低エネルギー損傷の恥骨枝の骨折や小さい剥離骨折ではCTが不要なこともあります。まず合併損傷の診断と治療を優先します。膀胱・尿道損傷も考慮します。検査としては尿検査(血尿の有無)、神経学的診察、女性では腟損傷の確認などが挙げられます。
治療
治療
安定型の骨折では通常、対症療法のみです。不安定型の骨折では外固定や観血的整復内固定術(ORIF)が選択されます。大量出血がある場合には外固定や血管塞栓術、骨盤パッキングなどが検討されます。ほぼ全ての骨盤骨折患者は入院して出血の有無を観察します(安定型を除く)。寛骨臼骨折は高エネルギー損傷で起こり、転位ありや非観血的整復後の不安定性が続く場合は外科的治療を検討します。後壁損傷を伴う寛骨臼骨折は非外科的管理となることが多く、整形外科医のコンサルテーションが推奨されます。安定型ではほとんどの場合、対症療法で済むことが多いです。
整形外科で扱うほかの病気
出典
参考: MSDマニュアルプロフェッショナル版(日本語)(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
受診の目安の出典:OrthoInfo(米国整形外科学会): Pelvic Fractures / MedlinePlus: Fractures(2026-10-13 確認)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。