病気の解説
アイゼンメンジャー症候群
受診の目安
- 唇や手足の指先が青紫色っぽくなり、体を動かすと目立つとき(NORD)
- 少し動いただけで息が切れる、疲れやすい、胸の痛みや動悸がある、気が遠くなる・失神する、といった症状があるとき(MSDマニュアル)
- 指先が太鼓のばちのように丸くふくらんできたとき(NORD)
- 生まれつきの心臓病(穴があるなど)を指摘されたことがあり、手術を受けていない、または長く受診が途切れているとき
相談先は循環器内科で、生まれつきの心臓病と肺高血圧にくわしい専門チームでの管理が勧められています(NORD)。これらの症状はほかの心臓や肺の病気でも起こり、症状だけで病名を判断することはできません。すでに診断を受けている方は、妊娠を考えるとき、歯の治療や手術を受ける前にも、担当の医師に相談してください(NORD)(MSDマニュアル)。
基本
アイゼンメンジャー症候群とは
心臓の壁の穴など、生まれつきの心臓病が治療されないまま続いたために、肺の血管が傷み、肺の血圧が非常に高くなった状態です。心臓と肺の両方に関わるまれな病気です(NORD)。肺の血管の変化はほとんど元に戻らないため、この状態になると、もとの心臓の穴を手術で閉じることは基本的にできなくなるとされます(NORD)(MSDマニュアル)。
主な症状
- チアノーゼ:酸素の少ない血液が全身に回るため、唇・指先などが青紫色になります。動くと強くなります(NORD)(MSDマニュアル)。
- 息切れ・疲れやすさ:とくに体を動かしたときに目立ちます(MSDマニュアル)(NORD)。
- ばち指:手足の指先が丸くふくらみます(NORD)。
- その他:胸の痛み、動悸や脈の乱れ、失神などがみられることがあります(MSDマニュアル)(NORD)。
症状が出てくる時期は、もとの心臓病の種類によって違い、子どものうちに出る場合もあれば、大人になってから出る場合もあります(MSDマニュアル)(NORD)。
原因・なりやすい要因
もとになるのは、心室中隔欠損症(左右の心室の間の穴)をはじめ、房室中隔欠損症、動脈管開存症、心房中隔欠損症などの生まれつきの心臓病です(MSDマニュアル)(NORD)。
こうした病気では、本来なら全身へ送られる血液の一部が穴を通って肺へ流れこみ、肺の血管に強い負担がかかり続けます。その結果、肺の細い血管が傷んで血圧が上がり、やがて血液の流れが逆向きになって、酸素の少ない血液が全身へ回るようになります(NORD)(MSDマニュアル)。特定の遺伝子は見つかっておらず、遺伝する病気ではないと考えられています(NORD)。生まれつきの心臓病を早く見つけて治療することで、起こりにくくなっているとされます(MSDマニュアル)。
検査と診断
診断
中心となるのは心臓の超音波検査で、心臓の穴や血液の流れ、肺の血圧が高い可能性を調べます(MSDマニュアル)(NORD)。胸部X線、心電図、血液中の酸素の量の測定、血液検査(赤血球の量や鉄の状態)なども行われます。肺の血圧などを直接測るために、心臓カテーテル検査を行うこともあります(NORD)(MSDマニュアル)。
治療
治療
根本的に治す方法はなく、症状をやわらげ、合併症を防ぐことが治療の目的になります(MSDマニュアル)(NORD)。
- 肺の血管を広げる薬:肺の血圧を下げる薬が使われ、体を動かせる力や生活の質の改善が期待されます(MSDマニュアル)(NORD)。
- そのほかの薬:利尿薬、血栓を防ぐ薬、鉄が不足している場合の鉄の補充などが、状態に応じて検討されます(NORD)(MSDマニュアル)。
- 増えすぎた赤血球への対応:症状がある場合に限り、慎重に血液を抜く処置が行われることがあります(MSDマニュアル)。
- 感染性心内膜炎の予防:一部の歯科治療などの前に抗菌薬を使います(NORD)(MSDマニュアル)。
- 移植:重い場合には、心臓と肺の移植(または肺移植)が選択肢になることがあります(MSDマニュアル)(NORD)。
日常生活の注意
生活の注意点は病状によって異なるため、担当医の指示を最優先にしてください。情報源では、次のようなことを避けるよう挙げられています。
- 妊娠:母体と赤ちゃんの両方に大きな危険があるため避けるべきとされ、避妊について医療チームから十分な説明を受けることが勧められています(NORD)(MSDマニュアル)。
- 脱水と高い場所への移動(NORD)(MSDマニュアル)
- サウナや熱いお風呂など、急に血圧が下がりやすい環境(NORD)
- 激しい運動や、力をこめて踏ん張るような運動(NORD)(MSDマニュアル)
- 喫煙(MSDマニュアル)
麻酔や鎮静を伴う処置は、できるだけ専門施設で慎重に行うことが勧められています(NORD)。ほかの医療機関を受診するときは、この病気があることを必ず伝えましょう。
経過と生活
経過と合併症
長い経過の中で、さまざまな合併症が起こることがあります。体が酸素不足を補おうとして赤血球が増えすぎ、血液がどろどろになることがあるほか、血のかたまり(血栓)、脳卒中、せきとともに血が出る(喀血)、痛風、鉄の不足、心臓の内側の細菌感染(感染性心内膜炎)、脈の乱れ、心不全などが挙げられています(MSDマニュアル)(NORD)。肺の血管を広げる薬の進歩により、体を動かせる力の改善や生存期間の延長が示されているとされます(MSDマニュアル)。
循環器内科で扱うほかの病気
出典
米国希少疾患患者団体(NORD)「Eisenmenger Syndrome」 / MSDマニュアル プロフェッショナル版「アイゼンメンジャー症候群」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。