病気の解説
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
受診の目安
- お座り・立つ・歩くといった運動の発達が、同年代の子どもより遅れていると感じるとき
- 幼いころから、腰まわりや太ももなど体の中心に近い筋肉の力の弱さが気になるとき
- 家族や親族に筋ジストロフィーの人がいて、心配なとき
- 診断を受けている人で、息切れ、強い疲れ、足のむくみ、脈の乱れなどが出てきたとき
相談先は小児科(小児神経)や脳神経内科です。運動の遅れや筋力の低下はほかの病気でも起こるため、症状だけで病名を決めることはできません。診断を受けたあとは、心臓や呼吸の状態を定期的に確認することが大切とされています。心不全の症状はわかりにくいことがあるためです(難病情報センター)。
基本
デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは
筋肉を守るたんぱく質「ジストロフィン」が作られないために、筋肉の線維が壊れていき、筋力が少しずつ低下していく遺伝性の病気です(MedlinePlus Genetics)。筋ジストロフィーの中の一つの型で、主に男の子に起こります(MedlinePlus Genetics)。筋ジストロフィーは国の指定難病(指定難病113)に含まれています(難病情報センター)。
主な症状
- 運動の遅れと筋力低下:幼いころから筋力の低下が始まり、比較的早く進みます。お座りや歩き始めが遅れることがあります(MedlinePlus Genetics)。弱くなるのは主に体の中心に近い筋肉(腰まわりや太ももなど)です(難病情報センター)。
- 歩く力の低下:多くは思春期ごろまでに車いすが必要になるとされます(MedlinePlus Genetics)。
- 心臓:思春期ごろから心臓の筋肉が弱る病気(心筋症)が起こりやすく、脈の乱れ、息切れ、強い疲れ、足のむくみなどが出ることがあります(MedlinePlus Genetics)。
- 呼吸・飲み込み:運動機能が低下したあとに呼吸の力が弱まるのが一般的で、飲み込みにくさは病気が進んだ時期に出やすいとされます(難病情報センター)。
- そのほか:関節が固まる(拘縮)、背骨や胸の変形、骨がもろくなる(骨粗しょう症)などを伴うことがあります(難病情報センター)。
原因
X染色体にあるDMD遺伝子の変化が原因です。この遺伝子は、筋肉の線維を安定させて守るジストロフィンの設計図にあたります。働くジストロフィンがまったく作られないとデュシェンヌ型になりやすく、使っているうちに筋肉の線維が傷み、壊れていきます(MedlinePlus Genetics)。
遺伝の形式は「X連鎖性」です。男性はX染色体を1本しか持たないため、変化が1つあるだけで発症します。母親が保因者で受け継ぐ場合が多い一方、新たに生じた変化による場合もあり(MedlinePlus Genetics)、日本の患者さんの約4割は突然変異によると報告されています(難病情報センター)。父親から息子に受け継がれることはありません(MedlinePlus Genetics)。
保因者の女性は多くは無症状ですが、軽い筋力低下やこむら返りがみられたり、心臓の異常が起こりやすかったりすることがあります(MedlinePlus Genetics)。
治療
治療
病気そのものを根本から治す方法は確立していませんが、進行をゆるやかにし、生活を支えるための治療が行われています(難病情報センター)。
- ステロイド:歩ける期間を延ばしたり、呼吸の機能を保ったりするのに役立つとされ、保険が使えます。運動機能がピークに達したころに始めるのが一般的です(難病情報センター)。
- 遺伝子の変化の型に応じた薬:特定の遺伝子変化をもつ人を対象に、エクソン・スキッピングという仕組みの薬が日本で承認されています(難病情報センター)。
- 呼吸の管理:マスクを使って呼吸を助ける方法や、たんを出しやすくする装置(自宅で使うものは保険適用)などで、肺を清潔に保ちます(難病情報センター)。
- 心臓の管理:心臓を守る薬を中心に、必要に応じて不整脈の治療を行います(難病情報センター)。
- リハビリテーション:関節を動かす訓練、呼吸のリハビリ、飲み込みの訓練などを行います。負荷の大きい筋力トレーニングは勧められていません(難病情報センター)。
日常生活の注意
日々の過ごし方は、主治医やリハビリの担当者の指示を優先してください。無理な筋力トレーニングは避けるよう勧められています(難病情報センター)。心臓や呼吸の変化は自覚しにくいことがあるため、症状がなくても定期的な診察を続けることが大切です(難病情報センター)。遺伝について不安がある家族は、遺伝の相談ができる医療機関で話を聞くことも一つの方法です。
経過と生活
経過
筋力の低下と運動機能の障害は、長い時間をかけて進行します(難病情報センター)。心臓の病気は進むと命に関わることが多いため(MedlinePlus Genetics)、心臓と呼吸の管理が経過を左右する大切な要素になります。
脳神経内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
難病情報センター「筋ジストロフィー(指定難病113)」 / MedlinePlus Genetics「Duchenne and Becker muscular dystrophy」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。