病気の解説
切れ痔
別名:裂肛
受診の目安
- 排便のたびに肛門が痛む、または排便後もしばらく痛みが続くとき
- トイレットペーパーや便器に鮮やかな赤い血がつくとき
- 便がだんだん細くなってきたとき(日本大腸肛門病学会)
- 市販薬などで様子を見ても良くならない、くり返すとき
相談先は肛門科(肛門外科)や消化器内科・消化器外科です。ヘルペスや肛門管のがんなども似た症状を起こすことがあり、症状だけで切れ痔と決めることはできません。自己判断で済ませず、専門の医師に相談することが勧められています(日本大腸肛門病学会)。
基本
切れ痔とは
肛門の皮膚や粘膜が切れたり、傷が深くなって潰瘍になったりした状態で、医学的には「裂肛」と呼ばれます(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。大人では20〜40代の女性に多いとされ(日本大腸肛門病学会)、乳児にもよくみられます(MSDマニュアル)。傷の多くは肛門の後ろ側(背中側)にでき、この部分は血の巡りが悪いことが関係していると考えられています(日本大腸肛門病学会)。
主な症状
- 痛み:排便中や排便のあとに痛みます。痛みがしばらく続くこともあり、強さには個人差があります(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。
- 出血:鮮やかな赤い血で、多くはトイレットペーパーにつく程度ですが、便器が赤く染まることもあります(日本大腸肛門病学会)。
傷ができると肛門の筋肉(括約筋)が縮こまったまま緩みにくくなり、痛みが強まって治りにくくなるとされます(MSDマニュアル)。
原因・なりやすい要因
- 硬い便・太い便:無理にいきんで出すことで肛門が切れます。毎日便が出ていても、便が硬ければ要注意とされます(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。
- 下痢:勢いのある便や、くり返す軟便も傷の原因になり、傷の治りを妨げます(MSDマニュアル)(日本大腸肛門病学会)。
検査と診断
診断
医師が肛門をていねいに観察して診断します(MSDマニュアル)。似た症状を起こすほかの病気がないかを確認することも大切です(日本大腸肛門病学会)。
治療
治療
多くの人は、薬と便通の改善で良くなるとされます(日本大腸肛門病学会)。
- 便通を整える:治療の第一歩は便秘を改善することです。食事の見直しを基本に、必要に応じて便をやわらかくする薬などが使われます(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。
- 塗り薬・坐薬:傷の治りを助ける軟膏や坐薬を使います。外側に塗るだけでは傷まで届かないことがあるため、肛門の中に注入するタイプが使われます(日本大腸肛門病学会)。必要に応じて痛み止めも使われます(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。
- 筋肉のこわばりをゆるめる治療:括約筋の緊張をやわらげる塗り薬や注射が行われることがあります(MSDマニュアル)。
- 手術:多くはありませんが、薬で良くならない場合や、肛門が狭くなった場合、いぼやポリープが気になる場合に検討されます(日本大腸肛門病学会)(MSDマニュアル)。
日常生活の注意・セルフケア
治療中は、医療機関からの指示を最優先にしてください。
- 水分と食物繊維を十分にとり、朝食を食べて、便通のリズムを整えましょう(日本大腸肛門病学会)。
- 便意を感じたらがまんせずにトイレに行き、長くいきみ続けないようにします。排便は3分以内を目安にすることが勧められています(日本大腸肛門病学会)。
- 排便後に、ぬるめのお湯でおしりを温める(坐浴)と痛みがやわらぐことがあるとされます。熱すぎるお湯は避けましょう(MSDマニュアル)。
経過と生活
経過
切れ痔をくり返すと、傷が深い潰瘍になったり、肛門の外側に皮膚のたるみ(見張りいぼ)が、内側にポリープのようなふくらみ(肛門ポリープ)ができたりすることがあります(日本大腸肛門病学会)。さらに肛門が狭くなると便が細くなり、痛みを恐れて排便をがまんすると便が硬くなって、また切れるという悪循環に陥ることがあります(日本大腸肛門病学会)。早めに治療を受け、便通を整えることが大切です。
切れ痔と関係する症状
症状のページでは、同じ症状が出るほかの病気や受診の目安も確認できます。
消化器内科で扱うほかの病気
出典
日本大腸肛門病学会「裂肛(切れ痔)」 / MSDマニュアル家庭版「裂肛」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。