病気の解説
巣状分節性糸球体硬化症
受診の目安
- まぶたが腫れぼったい、足首やすね、足の甲などがむくむ(NIDDK)
- 尿が泡立ち、なかなか消えない(NIDDK)
- むくみによって短い期間に体重が増えた、疲れやすい、食欲がない(NIDDK)
- 健康診断などで尿たんぱくを指摘された
相談先は腎臓内科(子どもの場合は小児科)です。むくみや泡立つ尿は心臓・肝臓など別の病気でも起こり、症状だけでこの病気かどうかはわかりません。診断には尿検査・血液検査に加え、腎臓の組織を調べる検査が必要になることがあります(NIDDK)。
基本
巣状分節性糸球体硬化症とは
腎臓には、血液をこして尿をつくる小さなフィルター(糸球体)がたくさんあります。巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は、そのうち一部の糸球体の、さらに一部分が硬く傷あと(硬化)のようになり、たんぱく質が尿にもれ出てしまう病気です(NIDDK)(厚生労働省)。大量のたんぱく尿によって血液中のたんぱくが減り、むくみが出る「ネフローゼ症候群」を起こす代表的な病気の一つで、明らかな原因のないものは国の指定難病「一次性ネフローゼ症候群」に含まれます(厚生労働省)。
主な症状
- むくみ(まぶた、足、おなかなど)と、それに伴う体重増加(NIDDK)(厚生労働省)
- 泡立つ尿(NIDDK)
- だるさ、食欲の低下(NIDDK)
- むくみが強いと、胸やおなかに水がたまることがあります(厚生労働省)。
このほか、血栓(血のかたまり)ができやすくなる、感染症にかかりやすくなる、血圧が上がる、コレステロールが高くなる、腎臓のはたらきが落ちる、といった合併症が起こることがあります(NIDDK)(厚生労働省)。
原因
明らかな原因が見つからないもの(一次性)が難病の対象とされ、その発症のしくみははっきりわかっていません。原因に関わる物質の候補が研究で報告されていますが、まだ定まっていません(厚生労働省)。
検査と診断
診断
- 尿検査:試験紙でたんぱくを調べ、1日分の尿をためる検査や、1回の尿でたんぱくとクレアチニンの比を測る検査で量を確かめます(NIDDK)。
- 血液検査:血液中のたんぱく(アルブミン)の低下などを調べます(NIDDK)。日本の成人の診断基準では、尿たんぱくが1日3.5g以上、血清アルブミンが3.0g/dL以下を同時に満たすことがネフローゼ症候群の目安とされています(厚生労働省)。
- 腎生検・画像検査:原因を調べるため、腎臓の超音波検査や、腎臓の組織を少し取って顕微鏡で調べる検査(腎生検)が行われることがあります(NIDDK)。ほかの病気が原因のネフローゼ症候群ではないことを確かめることも大切です(厚生労働省)。
治療
治療
- 病気そのものへの治療:副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬が使われます(厚生労働省)(NIDDK)。
- 症状を抑える治療:むくみには塩分の制限と利尿薬、腎臓を守りたんぱく尿を減らす目的で血圧の薬(ACE阻害薬やARB)、高コレステロールにはスタチンが使われます(厚生労働省)(NIDDK)。コレステロールが高く治りにくい場合には、血液から悪玉コレステロールを取り除く治療(LDLアフェレーシス)が行われることもあります(厚生労働省)。
- 感染症の予防:肺炎球菌ワクチンや毎年のインフルエンザワクチンが勧められることがあります(NIDDK)。
ステロイドでは骨粗しょう症や胃潰瘍、免疫抑制薬の併用では感染症が起こりやすくなるなど、治療に伴う副作用にも注意が必要です(厚生労働省)。
日常生活の注意
食事や水分の制限は、必ず主治医の指示に従ってください。食事が病気の原因や予防になるとは示されていませんが、診断後は、むくみを抑えるために塩分や水分を、コレステロールを抑えるために脂肪を控えるよう勧められることがあります(NIDDK)。
経過と生活
経過
治療でたんぱく尿が治まることもありますが、いったん落ち着いたあとに再びぶり返すことがあります(NIDDK)。治療が長く続く人も少なくありません。巣状分節性糸球体硬化症は、一次性ネフローゼ症候群の中でも長い目で見た経過が良くないほうとされ、年月とともに腎臓のはたらきが落ち、透析が必要になる人もいます(厚生労働省)。
腎臓内科で扱うほかの病気
出典
NIDDK「Nephrotic Syndrome in Adults」 / 厚生労働省「222 一次性ネフローゼ症候群(概要・診断基準)」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。