病気の解説
血友病A
別名:けつゆうひようA
受診の目安
- 血友病と診断されている人が頭を打ったとき:軽くぶつけただけでも、脳の中や脳と頭の骨の間に大量に出血し、命に関わることがあるとされます(MSDマニュアル家庭版)。頭の中の出血は、けいれんやまひなどの長く残る障害につながることがあります(CDC)。症状がなくても自己判断で様子を見ず、ただちに主治医に連絡して指示を受けてください。意識がおかしい、けいれんしている、などのときは119番で救急車を呼び、血友病であることを伝えてください。
- 舌の付け根やのどが腫れて息苦しいとき:出血による腫れで空気の通り道がふさがることがあるとされます(MSDマニュアル家庭版)。
- 関節(ひざ・ひじ・足首など)が腫れる、痛む、動かしにくいとき(MedlinePlus)(CDC)
- 押さえても止まりにくい出血、くり返す鼻血、尿や便に血が混じるとき(MedlinePlus)(CDC)
- 子ども(特に男の子)で、原因のはっきりしないあざが多い、けがや歯が抜けたあとの出血が長引くとき(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)
相談先は血液内科、子どもの場合は小児科です。血友病と診断されている人は、まず主治医に連絡してください。出血しやすい原因はほかにも多く、症状だけで血友病かどうかは判断できません。血液検査で確かめます(CDC)。
基本
血友病Aとは
血友病は、出血を止めるために必要なたんぱく質(凝固因子)が生まれつき足りない、または働かないために、血が固まりにくくなる病気です(MedlinePlus)。そのうち、第VIII(8)因子が足りないものが血友病Aで、血友病のなかでもっとも多いタイプです(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。第IX(9)因子が足りないものは血友病Bと呼ばれます(MedlinePlus)。重さは、血液中の凝固因子の量によって軽症・中等症・重症に分けられます(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
- 関節の出血:ひざ・ひじ・足首などに出血し、腫れ・痛み・こわばりが起こります。くり返すと関節が変形し、動かしにくくなることがあります(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。
- 筋肉の出血・あざ:あざができやすく、筋肉などの深いところに血のかたまり(血腫)ができることがあります(MedlinePlus)(CDC)。
- 止まりにくい出血:口や歯ぐき、鼻血、けがのあと、歯の処置や手術のあとに出血が長引くことがあります(MedlinePlus)(CDC)。
- 体の中の出血:尿や便に血が混じることや、頭の中・お腹の中の出血が起こることがあります(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。
重症では、はっきりしたけががなくても出血をくり返します。軽症や中等症では、手術や大きなけがをしたときに初めて気づかれることもあります(MedlinePlus)。
原因・なりやすい要因
第VIII因子をつくる遺伝子(X染色体の上にあります)の変化が原因です(MedlinePlus)。男性はX染色体を1本しか持たないため、変化のある遺伝子を1つ受け継ぐと発症します。そのため患者のほとんどは男性です(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。
女性は多くの場合「保因者」となり、症状は出ないか軽いものの、子どもに遺伝子を受け継ぐことがあります。保因者の女性でも、凝固因子が少なく出血しやすい場合があります(MedlinePlus)。家族に血友病の人がいない赤ちゃんで、新たな遺伝子の変化によって発症することもあります(CDC)。
なお、生まれつきではなく、大人になってから自分の体の免疫が第VIII因子を攻撃して起こる「後天性血友病」というまれな病気もあります(MedlinePlus)。
検査と診断
診断
家族歴や出血の様子を確かめたうえで、血液が固まるまでの時間を調べ、異常があれば凝固因子の量を測って、型と重さを判定します(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。遺伝子検査で、保因者かどうかを調べることもできます(MedlinePlus)。
治療
治療
- 凝固因子の補充:足りない第VIII因子の製剤を静脈に注射します。出血したときに使うほか、重症の人では出血を防ぐために定期的に注射し、自宅で自分で注射する方法を身につけることもできます(MedlinePlus)(CDC)。
- 皮下注射の薬:血友病Aでは、第VIII因子の代わりに働く薬を皮下に注射する方法もあります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 軽症の場合:歯の処置や手術の際に、体に蓄えられた第VIII因子を出させる薬や、固まった血液を溶けにくくする薬が使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
- 遺伝子治療:新しい治療の選択肢として利用されるようになっています(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 関節のリハビリ:出血で傷んだ関節には理学療法が役立ちます(MedlinePlus)。
補充した因子に対する抗体(インヒビター)ができると、治療が効きにくくなることがあり、薬の種類や量を変えて対応します(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
日常生活の注意・セルフケア
日常生活の注意は、主治医の指示を最優先にしてください。
- アスピリンや一部の痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)は血小板の働きを妨げるため、避けるべきとされます。市販薬を使う前に主治医や薬剤師に相談してください(MSDマニュアル家庭版)。
- 歯を抜くことにならないよう、ふだんの歯みがきなど口の中のケアを大切にしましょう(MSDマニュアル家庭版)。
- 歯科を含め、医療機関を受診するときは、血友病であることを必ず伝えてください。
経過と生活
経過
血友病は生涯続く病気ですが、凝固因子の補充などの治療で、出血の多くを防ぎ、関節の障害などの重い問題を減らせるとされています(CDC)。専門的な医療を継続して受けることが大切です(CDC)。家族が遺伝子の変化を受け継いでいるかどうかについては、遺伝カウンセリングを受けることができます(MSDマニュアル家庭版)。
血液内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
MedlinePlus「Hemophilia」 / MedlinePlus Genetics「Hemophilia」 / CDC「About Hemophilia」 / MSDマニュアル家庭版「血友病」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。