病気の解説
非特異性多発性小腸潰瘍症
受診の目安
非特異性多発性小腸潰瘍症では、慢性的に小腸や十二指腸の潰瘍から出血するため、貧血や手足のむくみがみられることがあります。症状が強くなる・日常生活に支障が出る・経過や治療に不安があるときは、小児科に相談してください。通院中の方は自己判断で治療を中断しないでください。
基本
概要
非特異性多発性小腸潰瘍症は、小腸に多発する潰瘍を特徴とする稀な病気です。慢性的な出血による鉄欠乏性貧血や低アルブミン血症、腹痛や腹部の不快感、下痢などの症状が現れることがあります。診断には血液検査や画像検査、内視鏡検査が用いられ、他の病気を除外したうえで確定診断を目指します。遺伝子解析が診断に役立つことがあり、保険適用は2024年6月からとなっています。治療は主に対症療法と栄養管理で、狭窄がある場合には内視鏡的治療や外科手術が検討されます。根治療法はなく、難治性・再発性の経過をとることが多いとされています。
主な症状
慢性的に小腸や十二指腸の潰瘍から出血するため、貧血や手足のむくみがみられることがあります。腹痛や下痢に加え、腸の狭窄により腸閉塞を起こすこともあります。時には肥厚性皮膚骨膜症の症状が伴うこともあります。
原因
最近の研究で、SLCO2A1 遺伝子の病的バリアントが関係するとされています。遺伝子は小腸粘膜の保護に関わるプロスタグランジンの輸送を担うタンパク質をコードしており、変異により小腸粘膜でプロスタグランジンを利用できず、潰瘍が発生すると考えられています。
病態
病気では慢性的な小腸・十二指腸の潰瘍から出血し、栄養状態の悪化が進みます。潰瘍の反復と狭窄の進行により腸が狭くなり、栄養吸収の障害が起こることがあります。肥厚性皮膚骨膜症との関連が指摘されることもあります。
リスク因子
この病気は基本的に常染色体潜性遺伝の形式で遺伝します。保因者同士の子どもが発症する可能性があるとされていますが、必ずしも発症するわけではないとされています。女性に多い傾向があるとされています。
検査と診断
診断
診断には鉄欠乏性貧血や低アルブミン血症などの血液状態のほか、慢性的な出血や難治性潰瘍があることを手掛かりにします。小腸の造影検査や内視鏡検査を行い、多発する小腸潰瘍や狭窄が認められるかを確認します。他の病気(腸結核、クローン病、薬剤性腸炎など)を除外することが重要です。必要に応じて遺伝子解析を行い、確定診断に役立てます。遺伝子解析は2024年6月より保険適用となっています。
治療
治療
治療の基本は、貧血には鉄剤、低蛋白血症にはアルブミン製剤の点滴、栄養状態を改善する経腸栄養療法です。重症例では入院して点滴による栄養補給を行うことがあります。腸管狭窄がある場合には、内視鏡的バルーン拡張術や手術が検討されますが、根治療法はありません。
経過と生活
生活上の注意
日常生活では腸の負担を減らすために、低残渣・低脂肪食を心がけ、経腸栄養剤による栄養療法を続けることが推奨されるとされています。過度な運動やストレスを避けることも挙げられています。
経過・予後
根治療法がないため、難治性で再発を繰り返す経過をたどります。潰瘍の再発と治癒を繰り返すことで腸の狭窄が進み、手術が必要になることがあります。複数回の小腸切除により短腸症候群を生じる可能性も指摘されています。
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出典
参考: 難病情報センター(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。