医療コラム
足底腱膜炎の靴の選び方:仕事靴・運動靴・サンダル
まず結論
足底腱膜炎では、かかとにクッションがあり、土踏まずをしっかり支える靴が勧められています(英国の公的医療情報)。底が厚くクッション性の高い靴は立つ・歩くときの痛みを減らすとされ(米国整形外科学会)、かかとの痛みでは幅にゆとりがあり、かかとが低く、底がやわらかい靴も勧められています(英国の公的医療情報)。
避けたいのは、ハイヒール、先の細いきつい靴、ビーチサンダル、かかとのないスリッパ、そしてすり減って足を支えなくなった靴です(英国の公的医療情報・米国整形外科学会)。自宅での対処を2週間続けても良くならないときなどは受診の目安です(英国の公的医療情報)。
すぐ受診が必要な症状
- 足の痛みに胸の痛み・冷や汗・息切れ・動悸を伴う → 直ちに医療機関へ(MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」)
- 突然ひどく痛み出した、足が冷たい・青白い、急なむくみが出た、痛む側の足に新しいしびれや力の入りにくさがある → 直ちに医療機関へ(同)
- けがのあとにかかとが強く痛む、痛みで気が遠くなる・めまい・吐き気がする/足や足首の形が変わった、変な角度になっている/けがのときに「ポキッ」という音がした/歩けない、つま先立ちで歩けない、階段を上れない/ふくらはぎや足首が腫れて内出血がある → その日のうちに医療機関へ相談(英国の公的医療情報「Heel pain」)
上の2つは脚の痛み全般で注意すべき徴候(MSDマニュアル家庭版)、3つ目はかかとや足首の骨折の可能性がある症状として英国の公的医療情報が急ぎの相談を勧めるものです。骨折が疑われるときは自分で手当てしようとしないでください(同)。
※胸の痛みや息苦しさが強いとき、意識がおかしいときは、ためらわず救急車(119番)を呼んでください(medimichi の注記)。
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 痛みが強い、またはふだんの生活ができないほど痛む
- 痛みがだんだん強くなる、またはくり返す
- 自宅での対処を2週間続けても良くならない
- 足にしびれや、感覚が鈍いところがある
- 糖尿病があってかかとが痛む(足のトラブルが重くなりやすいため)
上の5つは英国の公的医療情報「Heel pain」が挙げる目安です。日本での相談先は整形外科です(medimichi の注記)。急に強いかかとの痛みが出て少し腫れているときは、足底腱膜が切れている(断裂)ことがあり、MRIなどの検査が行われることがあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
勧められる靴の条件
英国の公的医療情報は足底腱膜炎について「かかとにクッションがあり、土踏まずをしっかり支える靴」を、かかとの痛み全般について「幅にゆとりがあり、かかとが低く、底がやわらかい靴」を勧めています。米国整形外科学会は、底が厚くクッション性の高い靴が、立つ・歩くときの痛みを減らすとしています。かかとが地面に着くたびに足底腱膜に強い張力がかかり、クッションのある靴や中敷きがそれを和らげるという説明です(米国整形外科学会)。
MSDマニュアル家庭版は、靴の中に入れる装具と、足にぴったり合うよう調整した支えのある靴を組み合わせると、かかとを支えて衝撃から守るのに役立つとしています。MSDマニュアル プロフェッショナル版は、治療の一つとして「適切なかかとの高さがある靴」を挙げています(高さの数値は示されていません)。
避けたい靴
| 靴 | 出典の記載 |
|---|---|
| ハイヒール | 避けるよう勧められている(英国の公的医療情報)。足底腱膜炎はかかとの高い靴をはく人にみられる(MSDマニュアル家庭版) |
| 先の細い靴、きつい靴 | 避けるよう勧められている(英国の公的医療情報) |
| ビーチサンダル、かかとのないスリッパ | 避けるよう勧められている(英国の公的医療情報) |
| サンダルなど支えの少ない靴 | ふだん座っていることの多い人は、こうした靴をはいたときに起こることがある(MSDマニュアル家庭版) |
| クッションや支えが少ない靴 | なりやすい要因の一つ(英国の公的医療情報) |
| 足に合わない靴、作りのよくない靴 | かかとへの負担の原因の一つ(MedlinePlus) |
| すり減った靴、足を支えない靴 | 避けるよう勧められている(米国整形外科学会) |
特定のブランドや商品が良いかどうかは、上の情報源には書かれていません。
買うとき・試しばきのポイント
米国整形外科学会は運動靴の選び方として、次の点を挙げています。足底腱膜炎に限った助言ではありませんが、靴を選ぶときの参考になります(米国整形外科学会「Athletic Shoes」)。
試しばきは、足がむくむ一日の終わりか運動のあとに、その運動のときにはく靴下で。両足ともはいてひもを締め、かかとがしっかり収まり、いちばん長い指の先に約1.3cm(1/2インチ)以上のすき間があるかを確かめます(米国整形外科学会「Athletic Shoes」。cm は medimichi の換算)。
また、靱帯や関節の変化によって足の長さや幅が大きくなることがあるため、定期的に、または新しい靴を買うときに足のサイズを測るよう勧められています(MSDマニュアル家庭版「足および足首の異常の概要」)。
中敷きやヒールパッドを使う予定なら、入れた状態で試しばきすると、きつさを確かめやすくなります(medimichi の注記)。
場面別の注意(仕事・運動・家の中・サンダル)
| 場面 | 出典に基づく注意 |
|---|---|
| 立ち仕事・仕事靴 | 硬い床の上で長い時間立つ仕事(医療従事者・工場で働く人・教師など)は、なりやすい要因とされる(米国整形外科学会)。長い時間立ち続けることは避けるよう勧められている(英国の公的医療情報)。靴は上の条件を目安にし、中敷きやヒールパッドを使う方法がある(英国の公的医療情報) |
| 運動・ランニング | 痛みが強いうちは、ランニングなど足を打ちつける運動を休み、水泳や自転車など衝撃の少ない運動に(米国整形外科学会)。1つの種目を週2回より多く行うなら、その種目用の靴を選ぶ。ウォーキング用の靴は、土踏まずの安定性と衝撃の吸収が特徴とされる(米国整形外科学会「Athletic Shoes」) |
| 中敷きを使う人のスパイク | スパイクは幅が狭く作られていることが多いため、中敷き(足底板)を使う人は幅の広いタイプを選ぶ(米国整形外科学会「Athletic Shoes」) |
| 家の中 | 硬い床の上を裸足で歩かない(英国の公的医療情報・MSDマニュアル家庭版)。かかとのないスリッパは避ける(英国の公的医療情報) |
| 夏・レジャーのサンダル | ビーチサンダルは避ける(英国の公的医療情報)。ふだん座っていることの多い人は、サンダルなど支えの少ない靴をはいたときに起こることがある(MSDマニュアル家庭版) |
安全靴など、職場で指定されている靴についての具体的な記載は、上の情報源にはありません。指定の靴は自己判断で替えず、中敷きの追加などを職場や医師に相談してください(medimichi の注記)。ストラップ付きのサンダルなら良いかどうかも、情報源には書かれていません。
靴の替えどき
米国整形外科学会は、足底腱膜炎の治療の一つとして、古い運動靴はすり減って足を支えなくなる前に替えるよう勧めています。
ランニングシューズについては、クッション材(EVA)は約120マイル(約190km)走ったころから構造が傷み始め、約500マイル(約800km)では衝撃を吸収する力が最初より45%落ちるとしています。また、長く店頭に置かれていた靴はクッション材が劣化していることがあるとしています(米国整形外科学会「Athletic Shoes」)。
キロメートルへの換算は medimichi によるものです。距離は目安で、はき方や体重によって変わります(medimichi の注記)。
ここから下は、医学的な説明ではなく、セルフケア用品の案内です。
出典・確認日
- 英国の公的医療情報(NHS)「Plantar fasciitis」(勧められる靴(かかとのクッション・土踏まずの支え)、中敷き・ヒールパッド、避ける靴(ハイヒール・先の細いきつい靴・ビーチサンダル・かかとのないスリッパ)、裸足、長時間の立ち歩き、クッションや支えの少ない靴は要因。NHSの最終レビュー日 2025-02-14)
- 英国の公的医療情報(NHS)「Heel pain」(幅にゆとりがありかかとが低く底がやわらかい靴、すぐ受診が必要な症状・受診の目安。NHSの最終レビュー日 2025-10-24)
- 英国の公的医療情報(NHS)「Pain in the bottom of the foot」(足の裏の痛みでの靴(ゆとり・低いかかと・やわらかい底)と避ける靴の確認。NHSの最終レビュー日 2025-09-11)
- 米国整形外科学会 OrthoInfo「Plantar Fasciitis and Bone Spurs」(底が厚くクッション性の高い靴、すり減った靴を替える、ヒールパッド、立ち仕事の要因、衝撃の少ない運動)
- 米国整形外科学会 OrthoInfo「Athletic Shoes」(試しばきの時間・すき間・かかとの保持、種目別の靴、スパイクと中敷き、ランニングシューズのクッション材の劣化(120マイル・500マイルで45%低下)、店頭在庫の劣化)
- MSDマニュアル家庭版「足底腱膜炎」(かかとの高い靴・サンダルなど支えの少ない靴、装具と支えのある靴、裸足。2025年10月更新)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「足底腱膜炎」(適切なかかとの高さの靴、断裂が疑われる症状)
- MSDマニュアル家庭版「足および足首の異常の概要」(足のサイズの変化と測定)
- MedlinePlus「Heel Injuries and Disorders」(合わない靴・作りのよくない靴がかかとの負担の原因)
- MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」(脚の痛み全般で注意すべき徴候)