多発性骨髄腫で腫瘍化しているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
多発性骨髄腫は、Bリンパ球から分化した形質細胞が骨髄内で異常に増殖する悪性腫瘍です。形質細胞は免疫グロブリン(抗体)を産生する細胞であり、この異常な形質細胞の単クローン性増殖により、M蛋白と呼ばれる単一種類の免疫グロブリンが血中や尿中に検出されることが特徴です。したがって、多発性骨髄腫の腫瘍化の本体は形質細胞です。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性骨髄腫はB細胞そのものが腫瘍化するのではなく、B細胞から分化した形質細胞が悪性増殖を示す疾患です。B細胞は形質細胞の前段階の細胞です。正しくは:多発性骨髄腫で悪性化するのは形質細胞です。B細胞は形質細胞へと分化するリンパ球です。選びやすい理由:形質細胞がB細胞から分化することを知っているため、関連性から選択肢として魅力的に映るかもしれません。混同注意:B細胞と形質細胞の関係、特にどちらが最終的に悪性化する細胞であるかを混同することがあります。
- 2. T細胞は細胞性免疫に関わるリンパ球であり、多発性骨髄腫の病態とは直接的な原因細胞として関連しません。多発性骨髄腫はB細胞系列の悪性腫瘍です。正しくは:T細胞は多発性骨髄腫の原因となる細胞ではありません。この疾患はB細胞由来の形質細胞の異常増殖です。選びやすい理由:T細胞もB細胞と同様にリンパ球の一種であるため、他のリンパ系悪性腫瘍と混同し、選択肢として考えてしまうかもしれません。混同注意:リンパ腫や白血病など、他の血液悪性腫瘍の原因細胞(T細胞リンパ腫など)と多発性骨髄腫の原因細胞を混同する可能性があります。
- 3. 正解。多発性骨髄腫は、Bリンパ球から分化し、抗体を産生する「形質細胞」が骨髄内で異常に増殖する悪性腫瘍です。この悪性化した形質細胞が、多発性骨髄腫の病態の本体となります。
- 4. 造血幹細胞は全ての血液細胞の元となる未分化な細胞ですが、多発性骨髄腫では造血幹細胞が悪性化するわけではありません。既に分化した形質細胞が悪性化します。造血幹細胞が悪性化する疾患は主に白血病(急性骨髄性白血病など)です。正しくは:造血幹細胞が悪性化する病態は主に白血病であり、多発性骨髄腫とは異なります。多発性骨髄腫では、分化後の形質細胞が悪性化します。選びやすい理由:多発性骨髄腫が血液の病気であることから、全ての血液細胞の元である造血幹細胞が悪性化すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:白血病など、造血幹細胞が悪性化する他の血液疾患と多発性骨髄腫を混同する可能性があります。
国試ポイント
多発性骨髄腫の最も基本的な病態生理として、どの細胞が悪性化するのかを理解しているかを問う問題です。B細胞と形質細胞の関係性、および他の血液腫瘍との違いを正確に把握しているかが評価されます。
混同注意
B細胞と形質細胞の発生段階における区別、および造血幹細胞が悪性化する白血病などの他の血液腫瘍との鑑別が混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
多発性骨髄腫に関する問題が出た場合、病態の根源である悪性化細胞(形質細胞)が何であるかを正確に把握できているかを確認してください。また、その形質細胞がどのような特徴(例:抗体産生)を持つか、あるいはその異常増殖が全身にどのような影響(例:骨病変、腎障害)を及ぼすかといった派生問題にも対応できるよう、基本的な病態生理を深く理解しておくことが重要です。
関連知識
免疫グロブリンの種類と機能、B細胞から形質細胞への分化成熟過程、形質細胞の主要な役割、多発性骨髄腫の主な症状(CRAB症状:高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)、M蛋白の意義など。