Aさん(58歳、男性)は外国籍の妻(40歳)と10年前に結婚し、2人で暮らしている。虚血性心疾患と診断され、外来看護師による生活指導を妻と一緒に受けることになった。初回の面談で、Aさんは「10年間で体重が10 kg増えました。妻の母国の習慣で味が濃いおかずや揚げ物とご飯を1日に何度も食べています。最近、2人とも運動をしなくなりました」と話した。このときの外来看護師のAさんと妻への最初の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
初回面談では、対象者の健康問題に対する認識、生活習慣の詳細、改善への意欲や考えを把握することが最も重要です。特に異文化背景を持つ場合、その文化に根差した習慣があるため、一方的な指導ではなく、まず相手の考えを尊重し、対話を通じて共に問題解決の方略を検討する姿勢が求められます。Aさんと妻の考えを聞くことで、個別性のある実行可能な支援計画を立てるための基盤となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。生活習慣の変更は、本人の自覚と意欲に基づいた主体的な行動変容が最も重要です。初回面談で一方的に指導するのではなく、まず対象者自身の現状認識と改善意向を把握することで、個別性のある支援計画を立てる基盤となります。異文化背景を持つ家族の場合、文化的な食習慣も考慮し、対話を通じて協働的に問題解決を図る姿勢が特に求められます。選びやすい理由:他の選択肢も生活習慣改善につながるが、一方的な指導であるため。混同注意:患者の主体性を尊重せず、すぐに具体的な行動指示をしてしまうと、実行が困難になる可能性がある。
- 2. 具体的な食事回数の指示は、現状の生活習慣や文化背景を十分に把握する前に行うべきではありません。まずAさんと妻の食習慣の詳細や、なぜ1日に何度も食事を摂るのかといった背景を理解することが先決です。また、一方的な指示は反発を招く可能性があり、自主的な行動変容を促すことにつながりにくいです。正しくは:まず、現在の食事回数や内容について詳しく聞き、その理由や背景を理解する。選びやすい理由:虚血性心疾患の生活指導として食事制限は重要であるため。混同注意:患者の状態や文化背景を考慮せず、一般的な指導を押し付けてしまう誤り。
- 3. 運動習慣がない状況で、いきなり毎日1時間のウォーキングという具体的な目標を提示することは、身体的負担や時間的制約を考慮せず、対象者の意欲を低下させる可能性があります。まずは現在の運動状況や可能な範囲での活動量、運動に対する考えなどを確認し、段階的に目標を設定することが重要です。正しくは:現在の運動量や運動に対する意欲、可能な時間などについて尋ね、無理のない範囲で始められる運動を検討する。選びやすい理由:運動不足解消は虚血性心疾患管理に必須であるため。混同注意:患者の現状や能力を考慮せず、理想的な目標を提示してしまう誤り。
- 4. 料理教室の推奨は、対象者の食習慣や料理スキル、文化的背景、そして何より本人の興味やニーズを把握する前に行うべきではありません。また、外国籍の妻がいる場合、日本の料理教室が適切かどうか、言語や文化的な壁がないかなど、配慮すべき点が多くあります。まずは食生活改善への意識や、具体的な改善方法へのニーズを把握することが先決です。正しくは:現在の調理方法や食材、食文化について詳しく聞き、健康的な食事に対する関心や、具体的な学習意向があるかを確認する。選びやすい理由:食生活の改善手段として有効な場合があるため。混同注意:患者のニーズや文化的背景を無視して、一般的な解決策を提示してしまう誤り。
国試ポイント
看護師の初回面談における患者中心の姿勢とコミュニケーション能力が問われています。特に、異文化背景を持つ患者への配慮と、一方的な指導ではなく、対象者の主体性を尊重した関わりの重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
生活習慣病の指導において、具体的な行動変容を促す指導は重要ですが、初回面談で一方的に目標を設定したり、具体的な方法を提示したりすることは適切ではありません。まず対象者の現状、認識、意向を把握することが、その後の指導の成功に不可欠です。
次に同じ論点が出たら
Aさんと妻の考えを聞いた後、それに基づいて具体的な生活習慣改善の目標を共に設定し、達成可能な行動計画を段階的に立案していく。
関連知識
健康教育の原則(ヘルスプロモーション、自己効力感の醸成、個別性の尊重、共感的理解)、異文化間看護、生活習慣病看護(虚血性心疾患の食事・運動療法)。