重症筋無力症に合併する頻度が最も高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
重症筋無力症は、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体によって筋力低下が生じる自己免疫疾患です。この疾患の約70%の患者で胸腺の異常(胸腺過形成または胸腺腫)が見られ、特に胸腺腫の合併頻度が最も高いため、胸腺腫の有無を確認するために胸部CT検査などが実施されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。重症筋無力症は自己免疫疾患であり、胸腺の異常(胸腺腫または胸腺過形成)が病態に深く関与しています。特に胸腺腫は重症筋無力症患者の約10〜15%に合併するとされ、最も頻度が高いです。胸腺は免疫システムの成熟に関わる臓器であり、異常な胸腺組織がアセチルコリン受容体に対する自己抗体を産生すると考えられています。
- 2. 胸膜中皮腫は、主にアスベスト(石綿)の曝露が原因で発生する悪性腫瘍です。重症筋無力症とは病態生理学的に直接的な関連性がなく、合併頻度が最も高いわけではありません。正しくは:胸膜中皮腫はアスベスト曝露との関連が強く、重症筋無力症とは合併頻度が高い関係ではありません。代わりに「胸腺腫」であれば重症筋無力症との合併頻度が最も高いと言えます。選びやすい理由:胸腺腫と同じく胸部に発生する腫瘍であるため、解剖学的な位置が近いことから混同する可能性があります。混同注意:胸腺腫。どちらも胸部の腫瘍ですが、原因、病態、重症筋無力症との関連性は全く異なります。
- 3. 重症筋無力症の患者さんでは、他の自己免疫疾患(例:橋本病やバセドウ病といった自己免疫性甲状腺疾患)との合併が見られることがあります。しかし、甲状腺『腫瘍』そのものが重症筋無力症に最も頻繁に合併するわけではありません。正しくは:重症筋無力症は他の自己免疫疾患(特に甲状腺機能亢進症であるバセドウ病など)との合併は知られていますが、甲状腺『腫瘍』が最も頻度高く合併するわけではありません。これは自己免疫疾患の一種であり、腫瘍とは異なります。選びやすい理由:重症筋無力症が自己免疫疾患であることから、他の自己免疫疾患(特に甲状腺関連)との合併を想起させやすいですが、「腫瘍」という点が誤りです。混同注意:自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)。これらは合併することがありますが、甲状腺腫瘍とは異なります。
- 4. 悪性リンパ腫は免疫系の細胞が癌化する病気であり、重症筋無力症も免疫系の異常による疾患ですが、両者の間に高い合併頻度の関連性は認められません。稀なケースで報告されることはありますが、最も頻度が高い合併症ではありません。正しくは:悪性リンパ腫は重症筋無力症と直接的な合併頻度が高い関係ではありません。免疫系の異常という共通点はあるものの、最も頻度が高い合併症ではありません。選びやすい理由:重症筋無力症も免疫異常が関係する疾患であるため、同じく免疫系に異常をきたす悪性リンパ腫との関連を想像してしまうかもしれません。混同注意:胸腺腫や他の自己免疫疾患。免疫系の疾患という漠然としたつながりから混同する可能性があります。
国試ポイント
重症筋無力症は頻出疾患であり、その病態生理だけでなく、診断や治療、そして合併症に関する知識が問われます。特に胸腺との関連は、病因・病態の理解に直結するため、国試でもよく出題される重要ポイントです。
混同注意
胸部の他の腫瘍(胸膜中皮腫など)や、他の自己免疫疾患(甲状腺関連疾患など)と混同しやすいですが、重症筋無力症との病態生理学的な関連性と合併頻度を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に重症筋無力症に関する問題が出題された場合、胸腺摘除術の適応や効果、クリーゼ(重症筋無力症クリーゼ)の対応、あるいは妊婦や小児の重症筋無力症管理など、より具体的な臨床場面での知識が問われる可能性があります。
関連知識
重症筋無力症の症状(眼瞼下垂、複視、嚥下障害、四肢筋力低下など)、診断(テンシロンテスト、抗アセチルコリン受容体抗体検査など)、治療(ステロイド、免疫抑制剤、胸腺摘除術など)。胸腺の発生と免疫系の役割についても関連付けて学習すると良いでしょう。