重症筋無力症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
重症筋無力症は、アセチルコリン受容体に対する自己抗体によって神経筋接合部での情報伝達が障害される自己免疫疾患です。約75%の患者で胸腺の異常(胸腺腫や胸腺過形成)を伴うことが知られており、胸腺が自己抗体産生に関与すると考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。重症筋無力症患者の約75%で胸腺異常(胸腺過形成や胸腺腫)が認められ、胸腺が自己抗体産生の場として重要であるため、この記述は正しい。選びやすい理由:重症筋無力症の主要な病態生理学的特徴の一つとして、胸腺との関連が広く知られているため。混同注意:胸腺の機能異常が全ての重症筋無力症患者に見られるわけではないという誤解。しかし、頻度は高いため正しい記述である。
- 2. パーキンソン病の患者数は、日本において約15万人以上と推定されているのに対し、重症筋無力症の患者数は指定難病情報センターによると約3万人程度であり、パーキンソン病の方が重症筋無力症よりも患者数が多い。正しくは:パーキンソン病と比較して、患者数は少ないです。選びやすい理由:両者とも比較的よく知られた神経疾患であるため、患者数の多寡が曖昧に感じられる可能性があるため。混同注意:各疾患の疫学的な有病率。
- 3. テンシロン(エドロホニウム)は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、神経筋接合部におけるアセチルコリンの分解を抑制し、アセチルコリン濃度を上昇させることで筋力低下を一時的に改善させる。テンシロン試験は、重症筋無力症の診断のために行われ、投与により症状が悪化するのではなく、一時的に改善する。正しくは:テンシロン試験を行うと、症状が一時的に改善します。選びやすい理由:薬物の作用機序や副作用に関して誤解がある場合。特に重症筋無力症に対する薬物が症状を悪化させるという誤った認識。混同注意:コリン作動性クリーゼ(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の過剰投与による症状悪化)との混同。ただし、テンシロン試験は診断用量であり、通常は症状改善を示す。
- 4. 血清クレアチンキナーゼ(CK)は筋細胞が破壊された際に上昇する酵素であり、筋炎や筋ジストロフィーなどの筋原性疾患で高値となる。重症筋無力症は神経筋接合部の機能障害であり、筋細胞の破壊を伴わないため、通常、血清CK値は正常範囲内である。正しくは:血清クレアチンキナーゼ(CK)の値は通常、正常範囲内です。選びやすい理由:筋力低下がある疾患全般でCK値が上昇すると誤解する可能性。特に筋原性疾患と神経原性疾患の区別が不明瞭な場合。混同注意:筋炎や筋ジストロフィーなどの筋原性疾患。
- 5. 重症筋無力症では、誘発筋電図の反復刺激試験を行うと、アセチルコリン受容体の減少により、刺激を繰り返すたびに筋収縮の振幅が徐々に減少する現象(漸減現象)が観察される。振幅が徐々に増加する現象(漸増現象)は、ランバート・イートン症候群で見られる特徴である。正しくは:誘発筋電図の反復刺激試験では、振幅が徐々に減少する現象が観察されます。選びやすい理由:反復刺激試験で何らかの振幅変化があることは知っていても、増加か減少かを混同する可能性。特にランバート・イートン症候群との区別が不明確な場合。混同注意:ランバート・イートン症候群の筋電図所見(漸増現象)。
国試ポイント
重症筋無力症の病態生理、検査、および関連疾患(特に胸腺との関連)を正確に理解する。
混同注意
重症筋無力症と、他の神経筋疾患(ランバート・イートン症候群、ボツリヌス症、筋ジストロフィーなど)の鑑別。
次に同じ論点が出たら
重症筋無力症に関する問題が出た場合、自己免疫疾患であること、アセチルコリン受容体が関与すること、胸腺との関連、筋力低下の変動性、診断的検査(テンシロン試験、誘発筋電図の漸減現象)の所見に注目して判断する。
関連知識
ランバート・イートン症候群では誘発筋電図の反復刺激で振幅が増加する(漸増現象)。ボツリヌス症ではアセチルコリン放出が抑制される。テンシロン試験は診断に用いられ、投与により症状は一時的に改善する。