多発性骨髄腫にみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
多発性骨髄腫は、骨髄に存在する形質細胞ががん化し、異常増殖する病気です。この異常形質細胞は、骨を破壊する破骨細胞を活性化させる物質を産生するため、多発性の骨融解病変が生じます。これにより骨がもろくなり、わずかな外力で骨折してしまう「病的骨折」が頻繁に見られます。また、骨からのカルシウム放出により高カルシウム血症、正常な造血機能の阻害による貧血、そして異常な免疫グロブリン(M蛋白)の産生による血清総蛋白量の増加や腎機能障害などが特徴的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性骨髄腫では肝臓自体への直接的な影響は少なく、肝機能障害が主要な症状として現れることは一般的ではありません。正しくは:肝臓の機能障害ではなく、腎機能障害や骨病変が顕著に見られます。選びやすい理由:がんが全身に影響を及ぼすというイメージから、様々な臓器障害を推測してしまうかもしれません。混同注意:他の悪性腫瘍では肝転移がよく見られるため、それと混同しやすいです。
- 2. 正解。多発性骨髄腫では、骨髄内に異常な形質細胞が増殖し、骨を破壊する破骨細胞が活性化されることで、骨融解病変が多発します。これにより骨がもろくなり、軽い外力や日常生活動作でも骨折しやすくなります(病的骨折)。選びやすい理由:多発性骨髄腫という病名から、骨髄が関わる病変を想像しやすいため、正答として選びやすいでしょう。
- 3. 多発性骨髄腫では、骨髄での正常な造血機能が阻害されるため、赤血球の産生が低下し、貧血(赤血球減少)が見られることが一般的です。赤血球増多は多血症で見られます。正しくは:赤血球増多ではなく、貧血(赤血球減少)が見られます。選びやすい理由:血液の病気であるため、血球数に異常が生じることは正しいですが、その方向性を誤解しやすいです。混同注意:他の血液疾患、特に赤血球系が増加する病態(真性多血症など)と混同しやすいです。
- 4. 多発性骨髄腫では、形質細胞が異常な免疫グロブリン(M蛋白)を大量に産生するため、血清総蛋白量は増加することが一般的です。正しくは:血清総蛋白量の減少ではなく、M蛋白の増加による血清総蛋白量の増加が見られます。選びやすい理由:全身性疾患や消耗性疾患では栄養状態が悪化し、総蛋白量が減少するイメージがあるため、選びやすいかもしれません。混同注意:肝機能障害などによるアルブミン産生低下や、腎疾患による蛋白喪失と混同しやすいです。
- 5. 多発性骨髄腫による骨融解(骨破壊)が進行すると、骨からカルシウムが血液中に放出されるため、高カルシウム血症をきたすことが一般的です。正しくは:低カルシウム血症ではなく、高カルシウム血症が見られます。選びやすい理由:一般的な病態として電解質異常を疑うため、何らかのカルシウム異常を想像するかもしれません。また、腎機能障害からカルシウム代謝異常を連想することもありますが、多発性骨髄腫における骨病変の主たる影響は高カルシウム血症です。混同注意:副甲状腺機能低下症や腎不全の一部で低カルシウム血症が見られるため、それらと混同しやすいです。
国試ポイント
多発性骨髄腫の主要な臨床症状と検査所見を正確に理解しているかを問う問題です。特に『CRAB症状』(高カルシウム血症: Hypercalcemia, 腎不全: Renal failure, 貧血: Anemia, 骨病変: Bone lesions)は重要であり、その一つである病的骨折が正答肢となっています。各選択肢が示す症状が、多発性骨髄腫で『増加』するのか『減少』するのか、あるいは『みられない』のかを正確に判断する知識が求められます。
混同注意
他の血液疾患(特に白血病やリンパ腫)や、骨代謝に影響を与える疾患(骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症など)の症状・所見と混同しやすいです。また、肝機能障害や低蛋白血症など、一般的な消耗性疾患や全身性疾患で見られる所見との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
多発性骨髄腫の問題が再び出題される場合、今回の骨病変だけでなく、『CRAB症状』の他の要素(腎不全、貧血、高カルシウム血症)や、M蛋白に関連する所見(高粘度症候群、アミロイドーシス)、さらに治療法やOT介入のポイントについて問われる可能性があります。
関連知識
多発性骨髄腫の診断基準、病期分類、治療法(化学療法、造血幹細胞移植、放射線療法など)、理学療法・作業療法における注意点や合併症管理(骨折予防、疼痛管理、廃用症候群予防)についても理解を深めることが重要です。