脊髄損傷で下肢に比べて上肢の障害が重度なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
中心性頸髄損傷は、頸髄の中心部、特に灰白質に損傷が及ぶことで、上肢の運動・感覚神経が下肢の神経よりも内側を通るため、上肢の障害が下肢に比べて重度となる。これは上肢支配領域の神経細胞がより中心部に位置するためである。
選択肢ごとの解説
- 1. 横断型頸髄損傷は、脊髄が完全に横断されるため、損傷部位以下の全運動・感覚機能が障害され、下肢だけでなく上肢も高度に麻痺するが、上肢のみが選択的に重度になるわけではない。 正しくは:横断型頸髄損傷では、損傷レベル以下の全機能が障害される。
- 2. 正解。中心性頸髄損傷では、脊髄の中心部にある灰白質が損傷されやすく、上肢を支配する神経路が下肢を支配する神経路よりも脊髄中心部に位置するため、上肢の障害が下肢に比べて重度となる。
- 3. 前脊髄動脈症候群は、前脊髄動脈の閉塞により脊髄前方の運動野と痛み・温度覚の経路が障害される。しかし、これは原則として損傷レベル以下の両側の運動麻痺、痛み・温度覚障害を起こすが、上肢のみが下肢より選択的に重度になるわけではない。振動覚・位置覚は後索を介するため保たれることが多い。 正しくは:前脊髄動脈症候群では、損傷レベル以下の両側の運動麻痺および痛み・温度覚障害が生じる。
- 4. ブラウンセカール症候群は、脊髄の半側が障害されることで、障害側では運動麻痺と深部感覚障害、対側では痛み・温度覚障害が生じる。上肢と下肢の障害の重篤度に選択的な偏りはない。 正しくは:ブラウンセカール症候群では、障害側と対側で異なる神経学的所見を呈する(ホモ・イプシラテラル麻痺、コントララテラル疼痛・温覚消失など)。
国試ポイント
脊髄損傷の病型と症状の関連性を理解し、特に中心性頸髄損傷における上肢と下肢の障害程度の違いを把握すること。
混同注意
横断性頸髄損傷や前脊髄動脈症候群、ブラウンセカール症候群など、他の脊髄損傷病型と症状を混同しないようにする。それぞれの特徴的な神経学的所見を区別することが重要である。
次に同じ論点が出たら
「下肢に比べて上肢の障害が重度」というキーワードが出たら、脊髄の中心部に病変があることを示唆するため、中心性頸髄損傷を第一に判断する。
覚え方
「下肢に比べて上肢の障害が重度」というキーワードが出たら、脊髄の中心部に病変があることを示唆するため、中心性頸髄損傷を第一に判断する。
対になる知識
横断性頸髄損傷や前脊髄動脈症候群、ブラウンセカール症候群など、他の脊髄損傷病型と症状を混同しないようにする。それぞれの特徴的な神経学的所見を区別することが重要である。
関連知識
脊髄の内部構造(灰白質と白質)、神経路の走行(皮質脊髄路、脊髄視床路など)、特に上肢と下肢の神経線維の解剖学的な配置を理解すること。中心性頸髄損傷は高齢者の頸部過伸展損傷で多く見られる。