「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」 歩行障害に対するリハビリテーションとして最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
メトロノームを用いた訓練は、パーキンソン病患者の歩行障害、特にすくみ足や歩行リズムの不安定さに対して有効です。聴覚的キューを提供することで、歩行のリズムを安定させ、歩幅を改善し、すくみ足を軽減する効果が認められています。これは、外部からの同期刺激が基底核-皮質ループの機能不全を補完し、運動制御を助けるためと考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 歩行障害の原因によっては、歩行速度を上げる指示だけでは適切でない場合が多いです。特にパーキンソン病のようにすくみ足やリズム障害がある場合、無理に速度を上げようとすると転倒のリスクを高める可能性があります。 正しくは:まずは安定した歩行リズムの確立を目指し、その上で段階的に速度向上を図る。
- 2. 正解。メトロノームを用いた訓練は、特にパーキンソン病患者の歩行障害(すくみ足、小刻み歩行、歩行リズムの不安定さなど)に対して、聴覚的キューを提供することで歩行リズムを整え、歩幅を広げ、歩行の安定性を向上させる効果が期待できます。
- 3. 継ぎ足歩行(タンデム歩行)は、バランス能力の評価や改善訓練として用いられますが、一般的に歩行障害のある患者、特にバランスが不安定な患者に行わせると転倒のリスクが非常に高くなります。安全が確保され、特定の目的にのみ用いられるべきです。 正しくは:バランス能力が比較的保たれている、または高度なバランス訓練の最終段階で、監視下で行う。
- 4. 坂道での訓練は、筋力や心肺機能の向上に有効ですが、歩行障害のある患者にとっては転倒リスクが高く、特にリズム障害やバランス障害がある場合には不適切です。まずは平地での安定した歩行を確立することが重要です。 正しくは:平地での歩行が十分に安定した後、筋力強化や運動能力向上を目的として、安全に配慮しながら導入を検討する。
国試ポイント
歩行障害に対するリハビリテーション戦略、特にパーキンソン病におけるメトロノーム使用の意義と適応を覚える。聴覚フィードバックによる運動改善効果の理解が重要。
混同注意
歩行速度向上や継ぎ足歩行、坂道訓練は、特定の病態や目的によっては有効な場合があるが、一般的な歩行障害、特にリズム障害にはメトロノームが第一選択となることが多い点を区別する。
次に同じ論点が出たら
歩行リズムの改善や運動開始困難が主訴の場合、聴覚的・視覚的キューを用いた訓練が選択肢に含まれているかを判断基準とする。
覚え方
歩行リズムの改善や運動開始困難が主訴の場合、聴覚的・視覚的キューを用いた訓練が選択肢に含まれているかを判断基準とする。
対になる知識
歩行速度向上や継ぎ足歩行、坂道訓練は、特定の病態や目的によっては有効な場合があるが、一般的な歩行障害、特にリズム障害にはメトロノームが第一選択となることが多い点を区別する。
関連知識
パーキンソン病の歩行障害の特徴(すくみ足、小刻み歩行、突進現象)と、それに対する様々なリハビリテーションアプローチ(視覚的キュー、振り子運動、大股歩行練習など)。