幻肢痛

病理学

はじめに

幻肢痛とは、手足などを切断したにもかかわらず、その失われた部位がああたかもまだ存在するかのように感じられる幻肢に、強い痛みを伴う病態です。一般的な消炎鎮痛薬の効果が得られにくく、慢性化しやすいという臨床的な特徴を持っています。

何を指すか

四肢を切断した患者の多くが経験する、失われたはずの手足が存在するかのように感じられる現象を幻肢と呼び、その部位に生じる痛みが幻肢痛です。小児よりも成人で起きやすく、切断創の治癒に伴って自然に消失することは少なく、長期間にわたり持続する場合が多く見られます。

病態と機序

発生機序には末梢神経系の変化だけでなく、大脳皮質体性感覚野の再編成などの中枢神経系の可塑的変化や、心理的要因などが複合的に関連しています。末梢性の切断端神経腫の形成や心理的要因のみですべてが説明されるのではなく、複数の要因が複雑に作用して引き起こされます。

分類と所見

下肢の切断と比較して、上肢の切断において発生頻度が高い傾向が知られています。治療としては、視覚的なフィードバックを利用した鏡療法や断端への適切な刺激療法に加え、三環系抗うつ薬や抗てんかん薬などの薬物療法、神経ブロック療法、TENS、鍼灸治療などが用いられます。

国家試験のポイント

国家試験では、幻肢痛が一般的な消炎鎮痛薬では効きにくい神経障害性疼痛の一種であることや、抗うつ薬・抗てんかん薬・神経ブロック・ミラーセラピーなどが治療に用いられる点がよく問われます。また、痛みが完全に消失するのを待つのではなく、早期から義足の適合やリハビリテーションを開始することが推奨される点も重要です。

間違えやすいところ

切断された残存肢の断端部に生じる局所的な疼痛である断端痛と混同しやすい点に注意が必要です。断端痛は神経腫の形成や感染、血流障害、不適切な義足ソケットによる圧迫などの物理的な病態が原因であるのに対し、幻肢痛は中枢神経系の可塑的変化などが原因であり、メカニズムが大きく異なります。また、痛みがない単なる幻肢覚は通常治療の対象にならないことも区別する必要があります。

幻肢痛が問われる国家試験問題(4問)

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