痛み
生理学
はじめに
痛みは、生体に加わる有害な刺激や病因によって引き起こされる感覚であり、東洋医学や生理学においてその発生機序や性状の鑑別が重要なテーマとなります。東洋医学の病証や生理学的な発痛物質の働きを理解することが不可欠です。
何を指すか
生理学や東洋医学において痛みは、体の異常を知らせる重要な生体反応として扱われます。東洋医学では気血津液の失調や六淫の侵入により生じ、生理学ではポリモーダル受容器などを介して知覚されます。
しくみ
生理学的には、ブラジキニンがポリモーダル受容器を直接興奮させて強い痛みを生じさせます。また、プロスタグランジンは受容器の感受性を高めて閾値を低下させ、痛みを増強させます。東洋医学においては、経脈の循行部位における気血の阻滞や、湿邪などの邪気が経脈や筋肉を阻滞することによって発生します。
調節と関連
プロスタグランジンは細胞膜のリン脂質からアラキドン酸を経てシクロオキシゲナーゼの作用により合成されます。非ステロイド性抗炎症薬はこのシクロオキシゲナーゼを阻害してプロスタグランジンの産生を抑えることで、痛みを鎮める作用を発揮します。
国家試験のポイント
国家試験では、東洋医学における痛みの性状と病因の組み合わせや、十二経脈の病証における痛みの部位が頻出します。また、発痛物質であるブラジキニンと、受容器の感受性を高めるプロスタグランジンの作用の違いもよく問われます。
間違えやすいところ
痛みの性状を病因と結びつけて覚える際、湿邪によるずしんと重い「重痛」と、気滞による「脹痛」、瘀血による「刺痛」、寒邪による「冷痛」、熱邪による「灼痛」、風邪による「遊走痛」を混同しないように注意が必要です。また、プロスタグランジンが単独で強い痛みを生じさせるのではなく受容器の感受性を高める点も、直接強い痛みを生じさせるブラジキニンと区別して覚える必要があります。