病気の解説
エキノコックス症
別名:エキノコッカス、包虫
受診の目安
- 北海道などで野山に出かけたり、キツネや放し飼いの犬と接したりする機会があり、感染が心配なとき
- みぞおちのあたりの不快感や張った感じ、腹痛、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などが続くとき
- 健康診断などで肝臓の異常を指摘されたとき
症状が出るまでに長い年月がかかり、症状だけでほかの肝臓の病気と見分けることはできません。肝臓の病気を診る内科(消化器内科など)で相談してください。北海道では、自治体の保健センターなどで血液による検診が行われています(札幌市)。
基本
エキノコックス症とは
エキノコックスという小さな条虫(サナダムシの仲間)の卵が口から入り、幼虫が主に肝臓などで育つことで起こる寄生虫の病気です(厚生労働省)(札幌市)。多包条虫による「多包虫症」と、単包条虫による「単包虫症」があり、日本でみられるのは主に多包虫症で、患者の多くは北海道で見つかっています(厚生労働省)。多包虫症は、治療しないと命にかかわることがある病気とされます(CDC)(厚生労働省)。ヒトからヒトにはうつりません(札幌市)。
主な症状
幼虫の育ち方はとてもゆっくりで、大人では最初の症状が出るまでに10年以上かかることが多いとされます(厚生労働省)。感染していても長い間、自覚症状がないのがふつうです(CDC)。
病気が進むと、次のような症状がみられることがあります(厚生労働省)。
- 肝臓の腫れ、腹痛
- 黄疸
- 貧血、発熱
- おなかに水がたまる(腹水)
多包虫症では、肝臓のほか肺や脳などに、腫瘍のように広がる病変ができることがあります(CDC)。
原因・なりやすい要因
多包条虫の成虫は、キツネや犬の腸に寄生します。成虫が産んだ卵はふんと一緒に外へ出て、野ネズミなどが卵を口にすると、その体内で幼虫が育ちます(CDC)。日本では、北海道のキタキツネが主な感染源で、野ネズミを食べた放し飼いの犬も感染源になり得ます(厚生労働省)(札幌市)。
人は、ふんに含まれる卵が手や食べ物、水などを通して口に入ることで感染します。たとえば、キツネやそのふんに触れる、ふんで汚れた山菜を生で食べる、沢水やわき水を飲む、といった機会が挙げられています(札幌市)。
なお、単包虫症は主に地中海沿岸や中東などでみられ、犬が成虫を持ち、ヒツジやウシなどの家畜の体内で幼虫が育ちます(厚生労働省)(CDC)。
検査と診断
診断
血液を調べて、エキノコックスに対する抗体があるかを確かめる検査があります。手術や生検で取った組織から寄生虫を見つけて診断することもあります(厚生労働省)。北海道では、血液検査による検診で早期に見つけることができるとされます(札幌市)。
治療
治療
- 手術:病変を手術で取り除くことが、根本的に治す唯一の方法とされています(厚生労働省)。早く見つかれば手術で治すことができるとされます(札幌市)。
- 薬:病状によっては、手術とあわせて、または手術ができない場合に、寄生虫に効く飲み薬を長い期間続けることがあります(CDC)。
治療後も再発することがあるため、長く経過をみていくことが勧められています(CDC)。
経過と生活
予防
- 野山から帰ったら手をよく洗い、衣服や靴の泥を落とします(札幌市)。
- キツネにえさを与えたり、呼び寄せたり、触ったりしません。残飯は放置せずに処理します(札幌市)(厚生労働省)。
- 山菜や野山の果実は流水でよく洗い、十分に加熱してから食べます(札幌市)。
- 沢水やわき水などの生水は飲みません。飲む場合は煮沸します(札幌市)(厚生労働省)。
- 犬は放し飼いにせず、散歩では落ちている物を食べさせないようにします。犬に触れたあとは手を洗います(札幌市)。
経過
多包虫症は症状が出てから放置すると、腹水がたまり、やがて命にかかわるとされています(厚生労働省)。一方で、早い段階で見つかれば手術で治すことができるとされ、検診による早期発見が重要です(札幌市)。
感染症内科で扱うほかの病気
出典
厚生労働省「エキノコックス症」 / 札幌市「エキノコックス症」 / CDC「About Echinococcosis」 / CDC「Clinical Care of Echinococcosis」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。