病気の解説
前脊髄動脈症候群
受診の目安
前脊髄動脈症候群の受診の目安は、内容を見直しているため、現在は表示を控えています。
気になる症状があるときは、自己判断せずに医療機関に相談してください。急に具合が悪くなったときや、命に関わると感じたときは、ためらわずに119番に連絡してください。
基本
概要
前脊髄動脈症候群は、脊髄の前方2/3を灌流する前脊髄動脈の閉塞や虚血によって起こる神経の病気です。脊髄の前方領域に血液を供給するこの動脈が障害されると、典型的には運動機能の障害と温痛覚の喪失を含む三つの特徴的な症状が見られます。脊髄の後ろ側の知覚(深部知覚・識別触覚)は比較的保たれることが多い点が鑑別の手がかりになります。原因としては大動脈疾患関連や低血圧、炎症、血栓などが挙げられ、胸腰部の領域でAdamkiewicz動脈の障害が関わることもあります。脳梗塞とは異なり動脈硬化性の閉塞は少ないとされます。分水嶺領域と呼ばれる血流が乏しい部位が脊髄の脆弱部位となります。
主な症状
前脊髄動脈症候群の典型的な三徴は、錐体路障害による対麻痺(胸髄以下または頸髄病変に伴う麻痺)、脊髄視床路障害に伴う病変レベル以下の温痛覚脱失(解離性感覚障害)、自律神経障害(膀胱直腸障害、持続勃起)です。痛みが強く現れ、両側性の運動麻痺と感覚障害が急速に進行することが多く、温痛覚が特に障害されやすいとされます。膀胱直腸障害を伴うこともあります。後索を通る振動覚や位置覚は比較的温存されることがあります。
原因
病因としては大動脈解離・大動脈手術時の動脈損傷・塞栓、低血圧、動脈硬化、炎症性疾患などが挙げられます。頸髄領域では椎骨動脈解離、胸腰髄領域ではAdamkiewicz動脈の起始部付近の血流障害が関与することが多いとされています。動脈硬化性閉塞は脊髄血管障害としては少ないと考えられ、胸腰部のAdamkiewicz動脈領域が特にリスク部位とされます。
病態
脊髄前方の血液を供給する前脊髄動脈の閉塞や虚血が原因で、前方2/3の領域が影響を受けます。前脊髄動脈は単一性で副血行路が限られているため、分水嶺領域(血流が乏しい部位)で血流が脆弱になることが病態の理解に重要です。脳梗塞とは異なり動脈硬化性閉塞が少ない点も特徴です。これにより、錐体路・脊髄視床路の障害が生じ、温痛覚が著しく障害されやすくなります。
リスク因子
高血圧・糖尿病・高脂血症・心房細動などの基礎疾患があると脊髄梗塞のリスクが高まるとされます。喫煙や不健康な食生活は血管機能を損ない、血栓形成を促す可能性があります。年齢とともに血管の弾性が低下し動脈硬化が進行することもリスク因子と考えられます。
検査と診断
検査
診断には神経学的診察と画像検査が重要です。神経学的には突発的な背部痛や急速な進行の弛緩性麻痺・感覚障害、特に温痛覚の障害を評価します。MRIでは病変部位が高信号を示し浮腫を認め、急性期にはDWIで梗塞巣をとらえることが多いです。蛇の目(snake eyes)サインやフクロウの目サインのように前角が両側に高信号を示すことがありますが、必ずしも特異性は高くありません。前脊髄動脈の閉塞や塞栓を評価するため血管造影が行われることもあります。
診断
診断はMRIと血管造影を組み合わせた評価で行われます。発症の急性性と解離性感覚障害の特徴、MRIの所見、前脊髄動脈の状態を総合的に判断します。
治療
治療
急性期と回復期に分けて治療します。急性期は血流を回復させることを目指し、ステロイドパルス療法や抗血小板・血流改善薬、場合により抗凝固薬の投与、血圧管理を行います。必要に応じて血管の狭窄や閉塞を解除する手術が検討されることもあります。回復期にはリハビリテーションが中心となります。
使われる薬
急性期にはステロイドパルス療法や脳脊髄保護を目的とした治療、抗血小板薬・血流改善薬、場合に抗凝固薬が用いられることがあります。血圧管理も重要です。
経過と生活
合併症
温痛覚の喪失や運動障害が進行すると、日常生活の動作が難しくなることがあります。自律神経障害として膀胱直腸障害が現れることもあるため、排尿や排便に影響が出る可能性があります。
経過・予後
回復期にはリハビリテーションと薬物療法が中心となることが示されています。
その他
初期症状
前兆が特定できることは少なく、発症は数時間のうちに急速に進むことが多いとされます。発症時には背部痛や四肢の痛みを強く訴えることがあり、発症部位より下方に症状が広がります。発症経過の中で、両側性の運動麻痺と感覚障害が現れ、温痛覚が特に障害されることが特徴です。
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出典
参考: 「前脊髄動脈症候群」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】 | メディカルドック(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。