病気の解説
子癇
緊急性の高い症状
妊娠中や出産後に次のようなことが起きたら、すぐに救急車を呼ぶか、かかっている産科に連絡してください。子癇や関連する重い状態は、すぐに治療しないと命にかかわることがあるとされています(NICHD)(MedlinePlus)。
- けいれんを起こした、意識がもうろうとしている・呼びかけに反応しない
- 息が苦しい
- おさまらない強い頭痛、目がかすむ・チカチカする
- みぞおちから右上腹部の痛み、吐き気や嘔吐
出典:NICHD「Preeclampsia and Eclampsia」、MedlinePlus「High Blood Pressure in Pregnancy」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 妊婦健診などで血圧が高いと言われた
- 顔や手のむくみが急に目立ってきた(足だけのむくみは妊娠中によくあります)
- 尿の量が減った
- 出産を終えて退院した後に、頭痛や目の症状、血圧の上昇がみられる
相談先は産婦人科です。頭痛やむくみは妊娠中によくある症状でもあり、自分で重さを判断することはできません。気になる症状があれば、健診の日を待たずに連絡しましょう(MedlinePlus)。出産後に起こることもあるため、産後もしばらくは注意が必要です(NICHD)。
基本
子癇とは
子癇(しかん)は、妊娠中や出産前後に高血圧が重くなり、脳の働きにまで影響して、けいれんや意識がなくなる状態(昏睡)を起こすものです(NICHD)(MedlinePlus)。妊娠20週以降に血圧が上がり、肝臓や腎臓などの臓器に影響が出る「妊娠高血圧腎症(子癇前症)」が、もっとも重くなった形とされます(NICHD)(MedlinePlus)。妊娠中だけでなく、出産後に起こることも少なくありません(NICHD)。
主な症状
子癇そのものの症状は、けいれんと意識障害です(NICHD)。その前段階である妊娠高血圧腎症では、次のような変化がみられることがあります(MedlinePlus)(NICHD)。
- 高い血圧、尿にたんぱくが出る
- 顔や手のむくみ
- 続く頭痛、かすみ目や目の前に点が見える
- 右上腹部の痛み、吐き気・嘔吐
- 息苦しさ、尿の量が減る
また、肝臓の障害や赤血球の破壊、血小板の減少を伴う「HELLP症候群」という重い合併症が起こることもあり、あざや出血のしやすさ、強いだるさがみられることがあります(MedlinePlus)(NICHD)。
原因・なりやすい要因
次のような人では、妊娠高血圧腎症・子癇が起こりやすいとされます(MedlinePlus)。
- 妊娠前から高血圧や慢性の腎臓病がある
- 以前の妊娠で高血圧や妊娠高血圧腎症になった
- 肥満がある
- 年齢が若い、または高い
- ふたご以上を妊娠している
- 家族に妊娠中の高血圧になった人がいる
- 糖尿病やループス(全身性エリテマトーデス)などの病気がある
検査と診断
診断
妊婦健診では、毎回血圧と尿を調べます。血圧が高い場合は、血液検査や尿のたんぱくの検査を追加して、臓器への影響を確かめます(MedlinePlus)。
治療
治療
子癇やHELLP症候群、重い妊娠高血圧腎症では、入院して治療します(MedlinePlus)。お母さんの命を守ることを第一に、病気の重さや妊娠週数、赤ちゃんの状態を考えながら、薬による治療を行い、必要に応じて予定より早く出産することもあります(MedlinePlus)。できるだけ赤ちゃんが育つ時間を確保しつつ、お母さんの安全を守ることが目標とされます(MedlinePlus)。
軽い段階では、家庭での血圧測定、胎動の確認、妊娠中でも使える血圧の薬、通院回数を増やした経過観察などが行われます(MedlinePlus)。
経過と生活
予防
妊婦健診を欠かさず受けて、血圧や尿の変化を早く見つけることが大切です(MedlinePlus)。起こりやすい要因がある人には、医師の判断で妊娠中期から少量のアスピリンが使われることがあります(MedlinePlus)。自己判断で薬を飲まず、必ず主治医に相談してください。
経過
出産後も症状が続くことがありますが、多くは産後6週間ほどでおさまるとされます(MedlinePlus)。一方で、出産後に新たに妊娠高血圧腎症や子癇が起こることもあり、子癇の一部は出産後に起きています(NICHD)。妊娠高血圧腎症は、早産や赤ちゃんの発育の遅れ、胎盤がはがれることなどにつながることがあり、お母さんが将来心臓の病気になる危険が高まるともいわれます(MedlinePlus)(NICHD)。
産婦人科で扱うほかの病気
出典
NICHD「Preeclampsia and Eclampsia: Condition Information」 / MedlinePlus「High Blood Pressure in Pregnancy」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。