次の症例で最も考えられる疾患はどれか。「75歳の男性。数か月前から両側の足趾の冷えとしびれを自覚。散歩中に下腿の痛みも出るが、休憩すれば歩くことができ、下肢の筋力低下はみられない。血圧は高く、喫煙歴は長い。ケンプテストは陰性。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
症例は75歳男性で、両足趾の冷えとしびれ、間欠性跛行(散歩中に下腿の痛みが出るが、休憩すれば歩行可能)、下肢筋力低下なし、高血圧と長年の喫煙歴を認めます。これらの症状は、動脈硬化を背景とする下肢への血流障害によって引き起こされる閉塞性動脈硬化症の典型的な臨床像と一致します。特に間欠性跛行は、運動により末梢の酸素需要が増大する際に血流供給が追いつかなくなることで生じる症状です。ケンプテスト陰性は腰部神経根症状を否定する所見であり、鑑別にも有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. 腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行では、前かがみなどの体位変換で症状が緩和することが多いですが、本症例では休憩(安静)で改善しており、また筋力低下がなく、ケンプテストも陰性であることから否定的です。 正しくは:腰部脊柱管狭窄症であれば、神経性間欠性跛行を呈し、安静ではなく前かがみなどの体位で改善することが多く、下肢のしびれや筋力低下、感覚障害を伴うことがあります。
- 2. 腰椎椎間板ヘルニアは、通常、急性の発症が多く、下肢の神経根症状(疼痛、しびれ、筋力低下)が顕著で、体動や咳・くしゃみで悪化することが多いです。本症例の数ヶ月前からという経過や間欠性跛行の症状とは合致しません。 正しくは:腰椎椎間板ヘルニアであれば、片側性の下肢痛やしびれ、筋力低下、SLRテスト陽性などの神経根症状を呈します。
- 3. 正解。症例は75歳男性、両足趾の冷えとしびれ、運動時の下腿痛(間欠性跛行)、高血圧と喫煙歴(動脈硬化の危険因子)があり、これらはすべて閉塞性動脈硬化症の典型的な所見です。休憩により痛みが改善する間欠性跛行は血管性跛行の特徴であり、ケンプテスト陰性で神経学的異常が少ないことも、血管性疾患を示唆します。
- 4. 脊椎分離すべり症は、腰痛や坐骨神経痛を引き起こすことがありますが、本症例の間欠性跛行のタイプや足趾の冷えとしびれといった症状、喫煙歴などの動脈硬化リスクとは直接関連しません。また、75歳という年齢では変性性のものが多く、分離すべり症のみでこれらの症状を説明するのは難しいです。 正しくは:脊椎分離すべり症は、腰痛や神経根症状を呈し、多くの場合、立位や伸展位で症状が悪化します。跛行は神経性跛行の特徴を示します。
国試ポイント
閉塞性動脈硬化症の主要症状である間欠性跛行の特徴(血管性と神経性の鑑別)と、関連する危険因子(高血圧、喫煙、高齢など)を理解すること。
混同注意
間欠性跛行を呈する疾患として、腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症が混同されやすいですが、それぞれの症状の特徴や検査所見で鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、間欠性跛行のタイプ(休憩で改善するか、体位で改善するか)、随伴症状(冷感、しびれ、筋力低下の有無)、血管リスクファクターの有無、神経学的所見(ケンプテストなど)を重点的に確認し、血管性か神経性かを判断します。
覚え方
同様の問題が出た場合、間欠性跛行のタイプ(休憩で改善するか、体位で改善するか)、随伴症状(冷感、しびれ、筋力低下の有無)、血管リスクファクターの有無、神経学的所見(ケンプテストなど)を重点的に確認し、血管性か神経性かを判断します。
対になる知識
間欠性跛行を呈する疾患として、腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症が混同されやすいですが、それぞれの症状の特徴や検査所見で鑑別が必要です。
関連知識
閉塞性動脈硬化症の診断には、ABI(足関節上腕血圧比)やTBI(足趾上腕血圧比)、下肢超音波検査、CTアンギオグラフィーなどが用いられます。治療には運動療法、薬物療法(抗血小板薬、プロスタグランジン製剤など)、重症例では血行再建術(カテーテル治療、バイパス手術)が検討されます。