次の症例で適切な局所治療部位はどれか。「42歳の女性。主訴は右の母指から中指にかけての痛みとしびれ。母指球・手根部には症状はない。手を振ると楽になることがある。ファレンテストは陽性。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
症例は右母指から中指の痛みとしびれ、母指球・手根部の症状なし、手を振ると楽になることがある(フリックサイン)、ファレンテスト陽性であり、手根管症候群の典型的な症状を示しています。手根管症候群は、正中神経が手根管内で圧迫されることで生じ、正中神経の支配領域である母指から環指橈側半分の知覚障害を呈します。局所治療として、手根管の部位に相当する大陵と労宮の間は、正中神経が走行する重要な治療部位であり、圧迫を軽減し症状を改善するために適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。手根管症候群の症状から、正中神経が手根管内で圧迫されていることが推測されます。大陵と労宮の間は、正中神経が走行する手根管の部位に相当し、鍼灸治療において局所の正中神経圧迫軽減や血行改善を図る目的で用いられるため適切です。
- 2. 少海と孔最の間は、主に上腕骨内側上顆から前腕内側にかけての部位であり、尺骨神経や橈骨神経、前腕屈筋群の治療に用いられることが多いですが、手根管症候群の原因である正中神経の圧迫部位からは離れています。正中神経の圧迫を直接的に緩和する部位ではありません。 正しくは:正中神経が走行する手根管の部位(大陵と労宮の間)。
- 3. 小海と支正の間は、主に肘関節の後方から前腕尺側にかけての部位であり、尺骨神経やその支配領域に関連する症状の治療に用いられます。手根管症候群の原因である正中神経の圧迫部位とは異なります。 正しくは:正中神経が走行する手根管の部位(大陵と労宮の間)。
- 4. 消䙏(本来は「消濼」または「消爍」と考えられるが、ここでは手首周辺の部位と仮定)と曲池の間は、主に上腕や肘関節周辺の部位であり、橈骨神経や上腕外側部の治療に用いられることが多いです。手根管症候群の原因である正中神経の圧迫部位とは解剖学的に関連が薄いです。 正しくは:正中神経が走行する手根管の部位(大陵と労宮の間)。
国試ポイント
手根管症候群の主要な症状(母指から中指のしびれ、夜間痛、フリックサイン、ファレンテスト陽性)と、その治療部位としての正中神経走行部(大陵と労宮の間)を理解すること。
混同注意
手根管症候群と頸椎症性神経根症や肘部管症候群の鑑別。手根管症候群は夜間痛やフリックサインが特徴的で、母指球筋萎縮が進行期に見られます。肘部管症候群は尺骨神経領域(小指と環指尺側)の症状、頸椎症性神経根症は頸部の運動で症状が変化することが鑑別のポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず症状(どの指に症状があるか、夜間痛の有無、フリックサインの有無)から手根管症候群を確実に診断し、その後、正中神経の走行部位に合致する経穴や部位を選択する。
覚え方
同様の問題が出た場合、まず症状(どの指に症状があるか、夜間痛の有無、フリックサインの有無)から手根管症候群を確実に診断し、その後、正中神経の走行部位に合致する経穴や部位を選択する。
対になる知識
手根管症候群と頸椎症性神経根症や肘部管症候群の鑑別。手根管症候群は夜間痛やフリックサインが特徴的で、母指球筋萎縮が進行期に見られます。肘部管症候群は尺骨神経領域(小指と環指尺側)の症状、頸椎症性神経根症は頸部の運動で症状が変化することが鑑別のポイントです。
関連知識
手根管症候群は正中神経の絞扼性神経障害であり、糖尿病、甲状腺機能低下症、妊娠、関節リウマチなどの全身疾患や、オーバーユースが誘因となることがあります。治療には保存療法(安静、装具、薬物療法、ブロック注射)と手術療法(手根管開放術)があります。鍼灸治療では局所治療の他、関連する経穴(例:内関、外関、合谷)も用いられます。