46歳の女性。夫の死をきっかけにうつ病を発症。悲観的思考となり、気力が極度に減退。食欲もなく、動悸・不眠・健忘を伴う。舌質は淡、脈は細弱を認める。 治療の結果、食欲が出てきて、気力の減退も改善してきた。この時期に最も注意すべき症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
うつ病患者は回復期に入ると、食欲や気力の改善とともに身体的活動性が向上するが、気分が完全に回復するまでには時間を要する。そのため、自責感や絶望感が残存した状態で行動力が先行し、自殺の危険性が高まるため、自殺念慮の有無を注意深く観察する必要がある。
選択肢ごとの解説
- 1. 幻聴は統合失調症に多く見られる症状であり、うつ病の回復期に最も注意すべき症状としては一般的ではない。 正しくは:幻聴は統合失調症の陽性症状であり、うつ病の回復期には通常出現しない。
- 2. 観念奔逸は躁病エピソードに見られる思考障害であり、うつ病の回復期には通常出現しない。 正しくは:観念奔逸は躁病エピソードに特徴的な症状であり、うつ病では見られない。
- 3. 強迫行為は強迫性障害の主症状であり、うつ病の回復期に最も注意すべき症状としては一般的ではない。 正しくは:強迫行為は強迫性障害の診断基準となる症状であり、うつ病の回復期に特異的に出現するものではない。
- 4. 正解。うつ病の回復期には、身体的活動性が向上する一方で、気分が完全に回復していないため、自責感や絶望感が行動力と結びつき、自殺のリスクが最も高まる。したがって、自殺念慮の有無に細心の注意を払う必要がある。
国試ポイント
うつ病の回復期における自殺リスクの増大とその背景(行動力と気分の回復のタイムラグ)
混同注意
気分が改善したからといって、すぐに自殺リスクがなくなるわけではないという誤解。
次に同じ論点が出たら
うつ病患者において、食欲や気力などの身体症状が改善し始めた時期に、表情の変化や言動から自殺の兆候(「楽になりたい」「いなくなってもいい」などの発言、身辺整理など)がないかを確認する。
覚え方
うつ病患者において、食欲や気力などの身体症状が改善し始めた時期に、表情の変化や言動から自殺の兆候(「楽になりたい」「いなくなってもいい」などの発言、身辺整理など)がないかを確認する。
対になる知識
気分が改善したからといって、すぐに自殺リスクがなくなるわけではないという誤解。
関連知識
うつ病治療における自殺リスクは、特に治療開始後2週間から数ヶ月の間で高まることが知られている。これは抗うつ薬の効果発現による活動性の改善が、気分の完全な回復よりも先行するためである。患者や家族への教育も重要となる。