病気の解説
皮膚筋炎
受診の目安
- まぶたが紫がかった赤色に腫れぼったくなる、指の関節の甲側やひじ・ひざに赤いぶつぶつやざらついた赤みが出るとき
- 首から胸元・背中の上のほうに、かゆみの強い赤みが広がるとき
- 腕を上げにくい、階段の上り下りや椅子からの立ち上がりがつらい、横になった状態から頭を持ち上げにくい、といった筋力の低下があるとき
- 飲み込みにくい、むせやすい、声がかすれるとき
- せきや息切れが出てきたとき。皮膚筋炎では肺の炎症が急に進むことがあるため、早めに受診してください
相談先はリウマチ・膠原病内科または皮膚科です。初めのころの皮膚症状だけでは確定が難しく、湿疹や脂漏性皮膚炎と見分けにくいこともあるため、症状だけで病名を判断することはできません(北海道大学皮膚科学教室)(難病情報センター)。
基本
皮膚筋炎とは
皮膚筋炎は、免疫のしくみが自分の筋肉や皮膚を攻撃してしまう自己免疫の病気で、膠原病の一つです(難病情報センター)。筋肉に炎症が起きて力が入りにくくなり、特徴的な皮膚症状を伴います。皮膚症状がなく筋肉の症状だけのものは多発性筋炎と呼ばれます(難病情報センター)(北海道大学皮膚科学教室)。国の指定難病の対象で、女性に多く、成人だけでなく子どもにも起こります(難病情報センター)。
主な症状
皮膚の症状(北海道大学皮膚科学教室)(難病情報センター)
- まぶたやその周りの、紫がかった赤い腫れ(ヘリオトロープ疹)
- 指の関節の甲側の平たく盛り上がった赤いぶつぶつ(ゴットロン丘疹)、ひじやひざなど関節の外側のざらついた赤み(ゴットロン徴候)
- 首から胸元、肩から背中にかけての赤み。かゆみを伴うことが多い
- 頬や頭皮の赤み、爪の周りの赤み、人差し指の側面のがさがさした赤み
筋肉の症状:体の中心に近い筋肉(肩・腰回り・首など)から左右対称に力が入りにくくなり、筋肉の痛みを伴うこともあります。のどの筋肉が弱ると、飲み込みにくさやむせ、誤嚥による肺炎をくり返すことがあります(難病情報センター)(北海道大学皮膚科学教室)。筋肉の症状がほとんどなく、皮膚症状だけが出るタイプもあります(難病情報センター)。
そのほか:だるさ、疲れやすさ、食欲の低下、関節の痛み、指先が白くなる現象(レイノー現象)などがみられることがあります(難病情報センター)。
注意が必要な合併症
- 間質性肺炎:肺に炎症が起こる合併症で、急に進むことがあり、経過を大きく左右します。とくに筋肉の症状が軽く皮膚症状が強いタイプで急速に進むことがあるとされます(難病情報センター)(北海道大学皮膚科学教室)。
- 悪性腫瘍(がん):皮膚筋炎ではがんを合併しやすいことが知られており、診断時やその後しばらくの間、がんがないかを十分に調べることが大切とされます(難病情報センター)(北海道大学皮膚科学教室)。
- 心臓:まれに心臓の筋肉が障害され、不整脈や心不全が起こることがあります(難病情報センター)。
原因・なりやすい要因
はっきりした原因はわかっていません。生まれ持った体質に、微生物の感染などのきっかけが加わって起こると考えられています(難病情報センター)。いわゆる遺伝病ではないとされますが、自己免疫の起こしやすさは受け継がれる可能性があるとされます(難病情報センター)。
検査と診断
診断
皮膚と筋肉の症状に加え、筋肉が壊れると血液中に増える酵素(CKなど)を調べる血液検査、病気に特有の自己抗体の検査、手足のMRI、皮膚や筋肉の一部を採って調べる生検などを組み合わせて診断します(北海道大学皮膚科学教室)。どの自己抗体があるかによって、肺の合併症の起こりやすさなどの傾向が異なることも知られています(北海道大学皮膚科学教室)。
治療
治療
- ステロイド(副腎皮質ホルモン):治療の中心です。はじめに十分な量を使い、効果をみながら時間をかけて減らしていきます。急に減らすと再び悪くなる原因になります(難病情報センター)(北海道大学皮膚科学教室)。重い場合には、点滴で大量に使う方法がとられることもあります(難病情報センター)。
- 免疫抑制薬:効果が不十分なとき、再び悪くなったとき、ステロイドの量を減らしたいときなどに併用されます。肺の炎症が急に進むタイプでは、早い段階から組み合わせて使います(難病情報センター)。
- 免疫グロブリン大量療法:ステロイドが効きにくい場合に使われることがあります(難病情報センター)。
- 皮膚症状への塗り薬:皮膚症状だけの場合は、塗り薬が優先されます(難病情報センター)。
- がんの治療:がんを合併している場合は、がんの治療が優先されます(北海道大学皮膚科学教室)(難病情報センター)。
ステロイドには感染症にかかりやすくなる、血糖が上がる、骨がもろくなるなどの副作用があり、主治医の指示どおりに規則正しく飲むことが大切です(難病情報センター)。
日常生活の注意・セルフケア
日常生活の過ごし方は、主治医の指示を最優先にしてください。
- 治療を始めたころは安静が必要です。炎症が落ち着いたらリハビリを行い、疲れない程度の運動を続けます。やりすぎると筋肉の障害が悪化するおそれがあります(難病情報センター)。
- 皮膚症状がある場合は、紫外線を避けるようにします(難病情報センター)。
- ステロイドで食欲が増すことがあるため、食べすぎに注意し、栄養のバランスを意識します(難病情報センター)。
経過と生活
経過
ステロイドによる治療は多くの人に効果があり、大多数の人が日常生活に戻れるとされます(難病情報センター)。一方、急速に進む間質性肺炎やがんを合併した場合は、命に関わることがあります(難病情報センター)。高齢の人では、炎症がおさまったあとも筋力の低下が残ることが多く、リハビリが中心になります。発症から早い時期で筋力低下が軽いうちに治療を始めた人ほど、回復がよいとされます(難病情報センター)。
リウマチ・膠原病内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
難病情報センター「皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)」 / 北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室 公開教材「膠原病および類縁疾患」(皮膚筋炎の項)
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。