次の文で示す症例の拘縮がみられる筋に対する局所治療穴として最も適切なのはどれか。「73歳の女性。主訴は左股関節の痛み。3か月前から痛みがひどくなった。エックス線検査にて軟骨下骨の硬化、骨棘形成がみられた。トーマステストは陽性、トレンデレンブルグ徴候とエリーテストは陰性。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
衝門は脾経のツボで、大腿動脈拍動部内側に位置します。股関節屈曲拘縮(トーマステスト陽性)を呈する変形性股関節症において、股関節屈筋群の治療は重要です。特に、衝門は大腿直筋や腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)など股関節屈筋群に近接しており、これらの筋群の緊張緩和や血流改善を目的とした局所治療穴として最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 居髎は下腿前外側、膝蓋骨下縁と外果尖を結ぶ線上で、脛骨稜の外方にとるツボで、主に下腿や膝関節周囲の症状に用いられます。股関節の屈曲拘縮に対する直接的な治療穴としては不適切です。 正しくは:股関節屈筋群の治療には、衝門や髀関などがより適切です。
- 2. 正解。衝門は、大腿前面、鼠径部で拍動する大腿動脈の拍動部内側にあるツボです。この部位は、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)や大腿直筋などの股関節屈筋群に近く、これらの筋の緊張緩和や血流改善に効果的であるため、トーマステスト陽性で示される股関節屈曲拘縮に対する局所治療穴として最も適切です。
- 3. 秩辺は仙骨外縁のツボで、主に腰部や仙腸関節、梨状筋症候群、坐骨神経痛などに用いられます。股関節屈筋群の拘縮に対する直接的な治療穴としては不適切です。 正しくは:股関節屈筋群の治療には、衝門や髀関などがより適切です。
- 4. 髀関は足陽明胃経のツボで、大腿直筋の起始部に近い位置にありますが、衝門は大腿動脈の拍動部、腸腰筋の近くにあり、股関節屈筋群全体に対するアプローチとして衝門の方がより包括的かつ直接的な効果が期待できます。髀関も股関節屈筋群の治療に用いられることがありますが、この症例における拘縮部位や病態への直接性では衝門が優位です。 正しくは:股関節屈筋群へのアプローチとして、衝門がより効果的です。
国試ポイント
変形性股関節症の病態理解(軟骨下骨硬化、骨棘形成、トーマステスト陽性など)と、それに伴う拘縮筋群(股関節屈筋群)への適切な治療穴選択が重要です。特に、関連する解剖学的構造(筋肉、血管)とツボの位置関係を覚える必要があります。
混同注意
股関節周囲の他のツボ(例えば秩辺は股関節伸筋群、髀関は股関節屈筋群に近いが衝門より遠位)との位置と適応の違いを混同しやすいです。また、股関節伸展制限の原因が股関節屈筋群の拘縮であることを理解せず、伸筋群の治療穴を選択してしまうこともあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合は、まず症例の主訴、画像所見、身体所見(特にトーマステスト陽性)から変形性股関節症と股関節屈曲拘縮を特定します。次に、股関節屈曲拘縮の原因となる筋群(股関節屈筋群)を特定し、その筋群に最も効果的な局所治療穴を選択します。ツボの解剖学的位置とその作用を正確に把握しているかで判断します。
覚え方
今後同様の問題が出た場合は、まず症例の主訴、画像所見、身体所見(特にトーマステスト陽性)から変形性股関節症と股関節屈曲拘縮を特定します。次に、股関節屈曲拘縮の原因となる筋群(股関節屈筋群)を特定し、その筋群に最も効果的な局所治療穴を選択します。ツボの解剖学的位置とその作用を正確に把握しているかで判断します。
対になる知識
股関節周囲の他のツボ(例えば秩辺は股関節伸筋群、髀関は股関節屈筋群に近いが衝門より遠位)との位置と適応の違いを混同しやすいです。また、股関節伸展制限の原因が股関節屈筋群の拘縮であることを理解せず、伸筋群の治療穴を選択してしまうこともあります。
関連知識
変形性股関節症では、関節軟骨の摩耗と二次的な骨の変化が生じます。初期には股関節の可動域制限(特に伸展制限)が生じやすく、進行すると疼痛や跛行を呈します。トーマステストは股関節屈曲拘縮の有無を評価する検査であり、陽性の場合は股関節屈筋群(腸腰筋、大腿直筋など)の短縮・拘縮が示唆されます。トレンデレンブルグ徴候は股関節外転筋(中殿筋など)の機能不全、エリーテストは大腿直筋の短縮を評価します。