「65歳の男性。左片麻痺と意識障害を生じた。頭部CT検査にて右被殻出血と診断され、保存的治療を受けた。リハビリテーションの評価において視覚の見落としが著明であった。」 本患者の高次脳機能障害はどれか。
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
注意障害は、特定の刺激に焦点を当てたり、複数の情報源から情報を処理したり、持続的に注意を維持したりする能力の障害です。本症例の患者が「ぼんやりしていることが多い」「集中できない」という訴えは、典型的な注意機能の低下を示唆しており、高次脳機能障害としての注意障害に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 失行は、運動麻痺がないにもかかわらず、慣れた動作や目的のある動作ができない状態を指します。本患者の「ぼんやりしていることが多い」「集中できない」という訴えは、動作の遂行困難とは直接結びつきません。 正しくは:特定の動作(例:服を着る、歯を磨く)が指示通りに行えない、または道具の使い方がわからないといった具体的なエピソードがあれば失行と判断します。
- 2. 正解。患者の「ぼんやりしていることが多い」「集中できない」という訴えは、環境刺激に対する選択的注意や持続的注意の低下を示しており、注意障害の典型的な症状です。
- 3. 記憶障害は、新しいことを覚えられない(記銘力障害)、過去の出来事を思い出せない(想起力障害)など、情報の保持や想起に関する障害です。本患者の訴えは、情報そのものに注意が向かないことに主眼があり、記憶の機能そのものの障害とは異なります。 正しくは:新しい情報を覚えられない、以前の出来事を思い出せない、あるいは道順を覚えられないなどの具体的なエピソードがあれば記憶障害と判断します。
- 4. 遂行機能障害は、目標設定、計画立案、実行、評価・修正といった一連の行動プロセスに困難が生じる障害です。本患者の訴えは、具体的な計画の立案や実行における困難ではなく、前提となる注意機能の低下に重点があります。 正しくは:物事を計画通りに進められない、複数の選択肢の中から適切なものを選べない、問題解決ができないなどの具体的なエピソードがあれば遂行機能障害と判断します。
国試ポイント
高次脳機能障害の分類とそれぞれの臨床症状を正確に理解し、症例から適切な障害を識別すること。特に注意障害は、集中力の低下、情報の見落とし、処理速度の低下など、日常生活に広範な影響を及ぼすことを理解する。
混同注意
注意障害は、単なる倦怠感や意欲低下と混同されやすいですが、注意障害は脳の特定の機能低下に基づくものであり、一貫したパターンで現れます。記憶障害と併発することも多いですが、記憶障害が新しい情報を保持・想起できないのに対し、注意障害は情報自体に意識を向けられない点が異なります。
次に同じ論点が出たら
患者の訴えや観察される行動から、「集中力の持続困難」「複数の情報処理の困難」「気が散りやすい」といった具体的なエピソードがあるかを確認し、他の高次脳機能障害の症状と鑑別して判断します。
覚え方
患者の訴えや観察される行動から、「集中力の持続困難」「複数の情報処理の困難」「気が散りやすい」といった具体的なエピソードがあるかを確認し、他の高次脳機能障害の症状と鑑別して判断します。
対になる知識
注意障害は、単なる倦怠感や意欲低下と混同されやすいですが、注意障害は脳の特定の機能低下に基づくものであり、一貫したパターンで現れます。記憶障害と併発することも多いですが、記憶障害が新しい情報を保持・想起できないのに対し、注意障害は情報自体に意識を向けられない点が異なります。
関連知識
高次脳機能障害には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、失語、失認、失行などがあります。これらは単独で生じることもあれば、複数組み合わさって生じることも多く、脳損傷部位と関連付けて理解することが重要です。注意障害は前頭葉や頭頂葉、皮質下構造の損傷で生じやすいとされています。