次の症例で最も考えられる疾患はどれか。「76歳の女性。1年ほど前から特に誘因なく右手がしびれ、その後、左手にも出現。物をつかみにくく、歩行もぎこちなくなった。両側下肢の腱反射は亢進。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
頸椎症性脊髄症は、加齢による頸椎の変性(骨棘形成、椎間板ヘルニアなど)が脊髄を圧迫し、両側の手足のしびれ、巧緻運動障害(物をつかみにくい)、歩行障害、腱反射亢進といった脊髄症状を引き起こす疾患であり、本症例の症状と合致する。
選択肢ごとの解説
- 1. 胸郭出口症候群は腕神経叢や鎖骨下動静脈が圧迫されることで、上肢のしびれや痛み、脱力感が生じる疾患であるが、両側の症状が同時に進行し、特に下肢の症状や腱反射亢進を伴うことは稀であるため、本症例には合致しない。 正しくは:胸郭出口症候群は片側の上肢症状が主であり、下肢症状や腱反射亢進は通常伴わない。
- 2. 正解。本症例の「1年ほど前から特に誘因なく右手がしびれ、その後、左手にも出現。物をつかみにくく、歩行もぎこちなくなった。両側下肢の腱反射は亢進。」という症状は、脊髄圧迫による脊髄症の典型的な症候であり、頸椎症性脊髄症が最も考えられる。
- 3. 頸椎症性神経根症は、頸椎の変性により脊髄神経根が圧迫され、片側の上肢に放散痛やしびれ、筋力低下が生じる疾患である。本症例は「両手」のしびれ、「歩行もぎこちなくなった」といった下肢症状、さらに「両側下肢の腱反射は亢進」という脊髄症に特徴的な症状を呈しており、神経根症とは異なる。 正しくは:頸椎症性神経根症は片側の上肢症状が主であり、下肢症状や両側下肢の腱反射亢進は伴わない。
- 4. 外傷性頸部症候群(むちうち症)は、主に頸部の外傷によって発症し、頸部痛、肩こり、頭痛、めまいなどの症状を呈する。しびれや麻痺が生じることもあるが、通常は発症に誘因(外傷)があり、1年ほどかけて進行する両側の上肢・下肢症状や腱反射亢進を伴うことは稀である。 正しくは:外傷性頸部症候群は外傷を誘因とする頸部症状が主であり、本症例のような緩徐進行性の両側性脊髄症状を呈することは稀である。
国試ポイント
頸椎症性脊髄症の診断基準となる症状(両側のしびれ、巧緻運動障害、歩行障害、腱反射亢進など)と、他の頸部疾患との鑑別点を覚える。
混同注意
頸椎症性神経根症は片側の神経根症状が主であり、脊髄症は両側の脊髄症状を呈する点で区別する。胸郭出口症候群や外傷性頸部症候群は症状や発症機序が異なる。
次に同じ論点が出たら
「両側のしびれ」「巧緻運動障害」「歩行障害」「両側下肢の腱反射亢進」といったキーワードがあれば、頸椎症性脊髄症を最優先で考える。
覚え方
「両側のしびれ」「巧緻運動障害」「歩行障害」「両側下肢の腱反射亢進」といったキーワードがあれば、頸椎症性脊髄症を最優先で考える。
対になる知識
頸椎症性神経根症は片側の神経根症状が主であり、脊髄症は両側の脊髄症状を呈する点で区別する。胸郭出口症候群や外傷性頸部症候群は症状や発症機序が異なる。
関連知識
頸椎症性脊髄症の治療は保存療法が基本だが、症状が進行する場合は手術療法が考慮される。鑑別疾患として、ALS、多発性硬化症、脊髄腫瘍なども挙げられる。