「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」 診察所見で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ドロップアームテストは棘上筋の完全断裂で陽性となる検査であり、上肢を90度外転位からゆっくり下ろす際に、特定の角度でストンと落下するのが特徴です。これは、棘上筋が肩関節の外転初期に働く主要な筋肉であるため、断裂していると重力に抗して上肢を保持できなくなるためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ドロップアームテスト陽性は、棘上筋の完全断裂を示唆する特異度の高い所見であり、腱板損傷、特に棘上筋損傷の診断に非常に有用な検査です。上肢を90度外転位から下ろす際に、途中で支えきれずに腕が落下する現象を指します。
- 2. ペインフルアークサインは、肩関節の外転60〜120度の範囲で疼痛が出現するサインで、腱板炎や部分断裂を示唆しますが、完全断裂では陽性にならないこともあります。ドロップアームテストほどの特異度や重症度を示すわけではありません。 正しくは:ペインフルアークサインは、腱板炎や部分断裂で陽性となることが多い。
- 3. 肩関節の内旋筋力は主に肩甲下筋によって行われます。棘上筋は主に外転に関与するため、棘上筋損傷で直接的に内旋筋力低下が顕著になるわけではありません。広範な腱板損傷があれば内旋筋力も影響を受ける可能性はありますが、内旋筋力低下が棘上筋損傷の最も特徴的な所見ではありません。 正しくは:肩関節外旋筋力低下(棘下筋・小円筋損傷)、または肩関節外転筋力低下(棘上筋損傷)
- 4. 肩関節の内転筋力は主に大胸筋や広背筋によって行われます。腱板筋群は肩関節の回旋や外転・内旋に関与しますが、内転筋群とは直接的な関連が薄いため、腱板損傷で内転筋力が特異的に低下することはありません。 正しくは:肩関節外転筋力低下(棘上筋損傷)
国試ポイント
腱板損傷の診察所見と、各テストの意義・陽性所見を覚えることが重要です。特に、ドロップアームテスト、ペインフルアークサインは頻出です。
混同注意
腱板損傷の診察テストは複数あり、それぞれがどの筋の損傷を示唆するか、また陽性所見が具体的にどのような状態かを混同しやすいです。例えば、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋のそれぞれに対するテストの違いを明確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回、腱板損傷の診察所見に関する問題が出た場合は、各テストの目的筋と陽性所見の具体的な内容を確認し、問題文の状況に最も合致する選択肢を選ぶように判断します。
覚え方
次回、腱板損傷の診察所見に関する問題が出た場合は、各テストの目的筋と陽性所見の具体的な内容を確認し、問題文の状況に最も合致する選択肢を選ぶように判断します。
対になる知識
腱板損傷の診察テストは複数あり、それぞれがどの筋の損傷を示唆するか、また陽性所見が具体的にどのような状態かを混同しやすいです。例えば、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋のそれぞれに対するテストの違いを明確に理解する必要があります。
関連知識
腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉から構成され、肩関節の安定性と運動に重要な役割を果たします。特に棘上筋は、腱板損傷で最も頻繁に損傷される部位です。腱板損傷の治療には、保存療法と手術療法があり、損傷の程度や患者の活動性に応じて選択されます。