マン・ウェルニッケ肢位にある片麻痺患者に対して、上肢の痙性の改善を目的に相反性Ⅰa抑制を応用した低周波鍼通電療法を行う場合、適切な治療穴の組合せはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
マン・ウェルニッケ肢位は上肢の屈筋群、特に肩関節の内転・内旋、肘関節の屈曲、前腕の回内、手関節の屈曲、手指の屈曲が強くなるのが特徴である。痙性改善には、拮抗筋への刺激による相反性Ⅰa抑制を利用するため、屈筋群の拮抗筋である伸筋群を支配する経穴を選択する。消䙏は上腕三頭筋、外関は総指伸筋、短母指伸筋、長母指外転筋などを刺激し、伸筋群の活動を高めることで、屈筋群の痙性を抑制する。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。マン・ウェルニッケ肢位は上肢屈筋群の痙性が強いため、その拮抗筋である伸筋群を刺激することで相反性Ⅰa抑制を誘導し、屈筋群の痙性を緩和する。消䙏は上腕三頭筋、外関は総指伸筋群など上肢伸筋群に作用する代表的な経穴である。
- 2. 曲沢は肘関節の屈筋側(上腕二頭筋腱内側)、内関は前腕屈筋群を支配する経穴である。これらはマン・ウェルニッケ肢位で過緊張している筋群そのものや、その補助筋に作用するため、相反性Ⅰa抑制の観点からは不適切である。むしろこれらの筋を刺激すると痙性が悪化する可能性もある。 正しくは:上肢伸筋群の経穴(例: 消䙏、外関)を選択するべきである。
- 3. 承筋、承山はともに下腿の後面にある経穴で、腓腹筋やヒラメ筋といった下肢の筋群に作用する。問題文は上肢の痙性改善を目的としているため、上肢の治療には不適切である。 正しくは:上肢伸筋群の経穴(例: 消䙏、外関)を選択するべきである。
- 4. 豊隆、足三里はともに下腿にある経穴で、豊隆は下腿外側、足三里は下腿前面に位置し、下肢の筋群に作用する。問題文は上肢の痙性改善を目的としているため、上肢の治療には不適切である。 正しくは:上肢伸筋群の経穴(例: 消䙏、外関)を選択するべきである。
国試ポイント
片麻痺患者の痙性に対する鍼灸治療において、相反性Ⅰa抑制の機序を理解し、マン・ウェルニッケ肢位で過緊張している筋群の拮抗筋に作用する治療穴を選択できるか。特に上肢伸筋群に作用する経穴(消䙏、外関)の知識が問われる。
混同注意
相反性Ⅰa抑制と反回抑制(レンショウ細胞による抑制)は異なる。相反性Ⅰa抑制は、主動作筋が収縮する際に、その拮抗筋が弛緩する現象。反回抑制は、興奮したα運動ニューロンの側枝がレンショウ細胞を興奮させ、そのα運動ニューロン自身を抑制する機構。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず問題文から対象となる患者の異常肢位と、それによって過緊張している筋群を特定する。次に、治療目的(痙性改善)から、その過緊張筋群の拮抗筋に作用する経穴を選択する。
覚え方
同様の問題が出題された場合、まず問題文から対象となる患者の異常肢位と、それによって過緊張している筋群を特定する。次に、治療目的(痙性改善)から、その過緊張筋群の拮抗筋に作用する経穴を選択する。
対になる知識
相反性Ⅰa抑制と反回抑制(レンショウ細胞による抑制)は異なる。相反性Ⅰa抑制は、主動作筋が収縮する際に、その拮抗筋が弛緩する現象。反回抑制は、興奮したα運動ニューロンの側枝がレンショウ細胞を興奮させ、そのα運動ニューロン自身を抑制する機構。
関連知識
マン・ウェルニッケ肢位は、脳卒中による片麻痺で最も頻繁に見られる上肢の異常姿勢である。股関節伸展、膝関節伸展、足関節底屈、内反(尖足内反)が特徴のKempf肢位も合わせて覚えておく。脳卒中後の痙性治療には、鍼灸以外にもボツリヌス療法、バクロフェン内服、選択的脊髄後根切断術などがある。