次の文で示す病証に対する経脈を考慮した治療穴として適切なのはどれか。「65歳の男性。2日前に新型コロナワクチン接種を受けたところ、肩を外転すると強い痛みを自覚する。悪寒、発熱、頭痛はない。肩の屈曲、伸展痛もない。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
症例は新型コロナワクチン接種後の肩関節周囲炎(SIRVAの可能性も含む)を示唆しており、特に肩の外転時痛が特徴的である。外転動作に関わる経脈は三焦経、小腸経、大腸経などが挙げられるが、手指の機能と関連が深い液門穴(三焦経)は、肩から手にかけての痛みや動きの制限に効果が期待できる。また、三焦経は体側の痛みに対応する。
選択肢ごとの解説
- 1. 魚際(肺経)は母指球筋の痛みや、咳嗽、喘息などの呼吸器症状に用いられることが多く、肩の外転痛の主治穴としては適切ではない。肩の屈曲痛に関与するが、外転痛が主訴であるため優先度は低い。 正しくは:肩の外転痛には、三焦経や小腸経、大腸経の経穴を優先的に考慮する。
- 2. 天泉(心包経)は上腕の痛み、特に心臓関連の症状や胸部の不快感、咳などに用いられることが多い。肩の外転痛の主治穴としては直接的な関連性が薄い。 正しくは:肩の外転痛には、三焦経や小腸経、大腸経の経穴を優先的に考慮する。
- 3. 正解。液門(三焦経)は、三焦経の輸穴であり、手指の痛みや関節の腫脹、腕や肩の痛み、頭痛、耳鳴りなどに用いられる。三焦経は肩の外側を走行し、肩の外転動作に関与するため、肩の外転痛に対して効果が期待できる。本症例は、新型コロナワクチン接種後の肩の外転痛であり、液門は肩から腕、手指にかけての症状を改善する効果が期待できる。
- 4. 前谷(小腸経)は、小指の痛み、耳鳴り、頭痛、咽喉痛などに用いられることが多い。小腸経は肩の外転動作に関与する経脈ではあるものの、前谷は指先に近く、肩の外転痛の主治穴としては液門に比べて直接的な関連性が低い。また、手指の痛みやしびれがないため、優先度は低い。 正しくは:肩の外転痛には、より肩に近い経穴や、三焦経の経穴を優先的に考慮する。小腸経であれば、肩貞や天宗など。
国試ポイント
肩関節の運動痛と関連経脈および治療穴の選択。特にワクチン接種後の疼痛(SIRVA)における鍼灸治療の理解。
混同注意
肩関節周囲炎(五十肩)とワクチン接種後肩関節損傷(SIRVA)の鑑別。SIRVAは接種後48時間以内発症が多く、急性炎症が強い場合がある。ただし、問診のみで鑑別は困難なことが多いため、広義の肩関節周囲の炎症として捉え、関連経脈・穴を考える。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、症状(特に運動方向と痛みの有無)から関連する経脈を特定し、その経脈上の適切な治療穴を選択する。また、ワクチン接種後の症状という背景情報も考慮に入れる。
覚え方
同様の問題が出題された場合、症状(特に運動方向と痛みの有無)から関連する経脈を特定し、その経脈上の適切な治療穴を選択する。また、ワクチン接種後の症状という背景情報も考慮に入れる。
対になる知識
肩関節周囲炎(五十肩)とワクチン接種後肩関節損傷(SIRVA)の鑑別。SIRVAは接種後48時間以内発症が多く、急性炎症が強い場合がある。ただし、問診のみで鑑別は困難なことが多いため、広義の肩関節周囲の炎症として捉え、関連経脈・穴を考える。
関連知識
SIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)は、ワクチン接種手技の問題(深すぎる、高すぎる位置への穿刺など)により、肩峰下滑液包やデルタ筋に炎症が生じる病態。鑑別疾患として、一般的な肩関節周囲炎、腱板損傷、滑液包炎がある。肩関節の運動方向と関連経脈:屈曲(肺経、大腸経)、伸展(小腸経、三焦経)、外転(小腸経、三焦経、大腸経)、内転(心経、心包経)。