「68歳の女性。右利き。右片麻痺を生じ病院に救急搬送された。MRI検査にて左中大脳動脈領域の脳伷塞と診断され、保存的治療を受けた。」 本患者の症状で最もみられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
本患者は右利きで、右脳に梗塞が認められることから、一般的に優位半球ではない右半球の損傷では失語症は最も顕著には現れにくい。しかし、提示されている「発話の流暢さは保たれているが、言葉の選択や文法に誤りがある」という記述は、感覚失語または超皮質性感覚失語の特徴に合致する。特にウェルニッケ野を含む側頭葉の損傷は失語症を引き起こす。
選択肢ごとの解説
- 1. 失調症は小脳や脳幹、脊髄の損傷によって生じる運動協調障害であり、本患者の脳梗塞部位(右脳)とは直接関連しにくい。また、問題文中に運動失調を示唆する具体的な記述はない。 正しくは:小脳症状や運動協調性の障害が明記されている場合。
- 2. 正解。問題文の「発話の流暢さは保たれているが、言葉の選択や文法に誤りがある」という症状は、流暢性失語(特にウェルニッケ失語や超皮質性感覚失語)の特徴と一致する。右利き患者の右脳損傷でも、非優位半球性失語として失語症が生じる可能性はある。また、他の選択肢と比べ、問題文の記述に最も合致する。
- 3. 左半側空間無視は、右頭頂葉の損傷で最もよくみられる症状であり、本患者の右脳梗塞(部位は特定されていないが)と関連する可能性はある。しかし、問題文中の症状記述(言葉の選択や文法に誤りがある)は失語症を明確に示唆しており、半側空間無視を示唆する記述はないため、失語症のほうがより直接的な症状であると判断できる。 正しくは:左半側の対象を認識できない、左半側を無視するような行動(左側の髭剃り忘れ、左の食事を残すなど)が明記されている場合。
- 4. 注意障害は、前頭葉や頭頂葉、皮質下構造など広範囲の脳損傷で生じうる。右脳損傷でも発生する可能性はあるが、問題文の「発話の流暢さは保たれているが、言葉の選択や文法に誤りがある」という具体的な言語症状の記述は、注意障害よりも失語症を直接的に示唆している。注意障害はより包括的な認知機能障害の一つである。 正しくは:集中力の低下、課題からの逸脱、反応速度の低下などが明記されている場合。
国試ポイント
失語症の分類と脳損傷部位、および失語症の具体的な症状を理解すること。
混同注意
失語症と構音障害、失見当識、認知症による言語症状を混同しない。失語症は言語そのものの障害であり、構音障害は発声発語器官の運動障害、失見当識は時間・場所・人物の認識障害である。
次に同じ論点が出たら
今後同様の症例問題が出た際は、患者の利き手、脳梗塞部位(特に左右差と脳葉)、言語症状(流暢性、復唱、呼称、読字、書字)の詳細な記述に着目して判断する。
覚え方
今後同様の症例問題が出た際は、患者の利き手、脳梗塞部位(特に左右差と脳葉)、言語症状(流暢性、復唱、呼称、読字、書字)の詳細な記述に着目して判断する。
対になる知識
失語症と構音障害、失見当識、認知症による言語症状を混同しない。失語症は言語そのものの障害であり、構音障害は発声発語器官の運動障害、失見当識は時間・場所・人物の認識障害である。
関連知識
ブローカ失語(非流暢性失語)は左前頭葉の損傷で、ウェルニッケ失語(流暢性失語)は左側頭葉上部の損傷で生じる。伝導失語は弓状束の損傷で復唱障害が特徴。全失語は広範な言語野の損傷で生じる。