次の文で示す症例の疾患として最も適切なのはどれか。「28歳の女性。半年前に左上腕から前腕内側にかけて痛みやしびれが出現。荷物を持つと痛みは増悪する。モーレイテスト、エデンテストともに陽性。ジャクソンテスト、スパーリングテストともに陰性。」
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
28歳女性の左上肢の痛みとしびれ、荷物を持つことでの増悪という愁訴に加え、モーレイテスト陽性、エデンテスト陽性であることから、血管神経束が胸郭出口で圧迫される胸郭出口症候群が最も適切である。ジャクソンテスト、スパーリングテスト陰性により、頸椎由来の神経症状が否定的である。
選択肢ごとの解説
- 1. ギヨン管症候群は尺骨神経が手関節のギヨン管で圧迫される疾患であり、手首から指にかけての症状が主となる。上腕から前腕の症状や、モーレイテスト、エデンテスト陽性とは合致しない。 正しくは:症状が小指と環指の尺側半分に限局し、手関節部の圧痛やチネル徴候が陽性であればギヨン管症候群を疑う。
- 2. 頸椎症性脊髄症は、脊髄そのものが圧迫されることで、手指巧緻運動障害や歩行障害、両下肢のしびれなど、広範囲な症状を呈する。本症例の片側上肢の神経症状とは異なる。ジャクソンテスト、スパーリングテスト陰性であることから頸椎由来の病態は否定的である。 正しくは:四肢のしびれ、手指の巧緻運動障害、歩行障害など、脊髄症状がみられ、ジャクソンテストやスパーリングテストが陽性の場合に疑う。
- 3. 頸椎症性神経根症は、頸椎椎間孔での神経根圧迫により、片側上肢の支配神経に沿った痛みやしびれを呈するが、本症例ではジャクソンテスト、スパーリングテストともに陰性であり、頸椎由来の神経圧迫所見が否定的である。また、モーレイテスト、エデンテストは陽性とはならない。 正しくは:ジャクソンテストやスパーリングテストが陽性であり、特定の神経根支配領域に沿った症状がある場合に疑う。
- 4. 正解。左上腕から前腕内側にかけての痛みやしびれ、荷物を持つことでの増悪という上肢の神経血管症状に加え、モーレイテスト(鎖骨上窩圧痛)、エデンテスト(両腕の外転・外旋位で脈拍減弱)ともに陽性であることから、胸郭出口部での神経血管束の圧迫を示唆しており、最も適切である。ジャクソンテスト、スパーリングテスト陰性により頸椎由来の神経症状は否定的。
国試ポイント
胸郭出口症候群の診断基準となる身体所見と鑑別疾患。
混同注意
頸椎症性神経根症やギヨン管症候群など、上肢の神経症状を呈する他の疾患。
次に同じ論点が出たら
上肢の神経症状に加え、モーレイテスト、エデンテスト、アドソンテストなどの特異的な誘発テストの陽性所見があるか、また頸椎関連テスト(ジャクソン、スパーリング)が陰性であるか。
覚え方
上肢の神経症状に加え、モーレイテスト、エデンテスト、アドソンテストなどの特異的な誘発テストの陽性所見があるか、また頸椎関連テスト(ジャクソン、スパーリング)が陰性であるか。
対になる知識
頸椎症性神経根症やギヨン管症候群など、上肢の神経症状を呈する他の疾患。
関連知識
胸郭出口症候群には、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)の3病型があること。それぞれの原因となる圧迫部位と好発体位。アドソンテストも胸郭出口症候群の検査法であること。