「50歳の男性。主訴は食欲不振。急な腹痛や嘔気があり、病院で胃の出血性びらんを指摘され、飲酒を控えるように言われた。口が苦く、舌質は紅、舌苔は厚膩、脈は滑数を認める。」 治療方針として最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
症例は、口渇なく、口苦を認め、尿量減少、手足のほてり、舌紅、舌苔黄膩とあることから、湿熱内盛の病態であると考えられます。特に口苦や尿量減少、黄膩苔は湿熱の典型的な所見であり、治療方針としては湿熱を除くことが最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝気を通す治療は、肝気鬱結の治療方針であり、胸脇脹満、イライラ、月経不順などが主症状の場合に選択されます。本症例の口苦、尿量減少、舌苔黄膩の所見とは合致しません。 正しくは:肝気鬱結の症状(胸脇脹満、イライラなど)がある場合に適用されます。
- 2. 正解。口渇なく口苦、尿量減少、手足のほてり、舌紅、舌苔黄膩の所見は、湿熱内盛の典型的な症状です。湿熱は消化器系や下焦に停滞しやすく、熱と湿の両方の病理を兼ね備えるため、湿熱を除くことが最も適切です。
- 3. 脾気を補う治療は、脾気虚の治療方針であり、食欲不振、倦怠感、泥状便、浮腫、舌淡胖大などが主症状の場合に選択されます。本症例の湿熱の所見とは異なります。 正しくは:脾気虚の症状(食欲不振、倦怠感、下痢など)がある場合に適用されます。
- 4. 胃陰を補う治療は、胃陰虚の治療方針であり、口渇、胃部の灼熱感、便秘、舌紅少苔などが主症状の場合に選択されます。本症例では口渇がなく、舌苔黄膩を呈しており、胃陰虚の病態とは異なります。 正しくは:胃陰虚の症状(口渇、胃部の灼熱感など)がある場合に適用されます。
国試ポイント
中医学における湿熱証の鑑別診断と治療原則を理解する。特に口苦、尿量減少、舌苔黄膩などの主要な症状から湿熱を的確に判断できることが重要です。
混同注意
湿熱と陰虚火旺は共に熱証を示すが、湿熱は口苦や黄膩苔、尿量減少(湿のため)、口渇なしが特徴で、陰虚火旺は口渇、五心煩熱、盗汗、舌紅少苔が特徴である。混同しやすいが、口渇の有無や舌苔の性状で区別する。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、口苦、舌苔の性状(黄膩苔)、口渇の有無、尿量の変化に注目し、これらが湿熱の主要な判断基準となります。
覚え方
同様の症例が出た場合、口苦、舌苔の性状(黄膩苔)、口渇の有無、尿量の変化に注目し、これらが湿熱の主要な判断基準となります。
対になる知識
湿熱と陰虚火旺は共に熱証を示すが、湿熱は口苦や黄膩苔、尿量減少(湿のため)、口渇なしが特徴で、陰虚火旺は口渇、五心煩熱、盗汗、舌紅少苔が特徴である。混同しやすいが、口渇の有無や舌苔の性状で区別する。
関連知識
湿熱の治療法には、清熱利湿(湿熱を下焦に排出)や清熱燥湿(湿を乾燥させる)などがあり、代表的な方剤として二妙散、甘露消毒丹などがあります。また、湿熱は肝胆湿熱や膀胱湿熱など、発生部位によってさらに細分化されます。