次の症例で最も考えられる疾患はどれか。「82歳の男性。1年前から両上肢の痛みとしびれ、半年前から両下肢のしびれが出現。物がつかみにくくなり、歩行もぎこちなくなった。四肢の深部反射亢進がみられる。ジャクソンテストは陰性。めまい、悪心はない。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
82歳男性の症例で、1年前からの両上肢の痛みとしびれ、半年前からの両下肢のしびれ、巧緻運動障害(物がつかみにくい)、歩行障害、そして四肢の深部反射亢進がみられる。これらはすべて頸椎症性脊髄症の典型的な症状である。脊髄症では脊髄自体の圧迫により広範囲な神経症状を呈し、錐体路障害による深部反射亢進が特徴的である。特に、上肢だけでなく下肢にも症状が出ていること、および深部反射亢進があることが脊髄症を強く示唆する。
選択肢ごとの解説
- 1. バレー・リュー症候群(後部頸部交感神経症候群)は、頸部痛、めまい、耳鳴り、後頭部痛などの自律神経症状を主とする。本症例の主症状である四肢のしびれ、巧緻運動障害、歩行障害、深部反射亢進とは合致しない。 正しくは:頸部痛、めまい、耳鳴り、後頭部痛などの自律神経症状が主である。
- 2. 胸郭出口症候群は、腕や手のしびれ、痛み、筋力低下などをきたす疾患だが、主に上肢の症状に限定され、通常は下肢のしびれや歩行障害、四肢の深部反射亢進は認めない。ジャクソンテストも陰性であり、頸部を原因とする症状とは異なる。 正しくは:上肢のしびれ、痛み、筋力低下を主とし、下肢症状や深部反射亢進は通常認めない。
- 3. 正解。本症例は、両上肢の痛みとしびれに加え、両下肢のしびれ、巧緻運動障害、歩行障害があり、さらに四肢の深部反射亢進が認められる。これらは頸椎症性脊髄症に典型的な症状である。脊髄の圧迫により上位運動ニューロンの障害が生じ、下肢を含めた広範囲の症状と深部反射亢進を呈する。
- 4. 頸椎症性神経根症は、椎間孔の狭窄などにより神経根が圧迫され、特定の神経支配領域に沿った上肢の痛みやしびれを主訴とする。通常は下肢症状や歩行障害、四肢の深部反射亢進は認めず、むしろ深部反射は低下・消失することが多い。ジャクソンテスト陰性も、神経根症状が強くないことを示唆する。 正しくは:上肢の神経支配領域に沿った痛みやしびれが主で、深部反射低下・消失を伴うことがある。下肢症状や深部反射亢進は稀である。
国試ポイント
頸椎症性脊髄症と神経根症の症状の違い、特に深部反射亢進の有無と病変範囲を覚えること。
混同注意
頸椎症性神経根症と混同しやすいが、神経根症は根症状(痛み、しびれ)が主で、深部反射低下・消失や筋力低下に限局性が見られることが多い。脊髄症は脊髄圧迫による広範囲な症状と深部反射亢進が特徴。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず症状の範囲(上肢のみか、下肢も含むか)と深部反射の状態(亢進か、低下/消失か)を確認し、広範囲な症状と深部反射亢進があれば脊髄症と判断する。
覚え方
同様の問題が出た場合、まず症状の範囲(上肢のみか、下肢も含むか)と深部反射の状態(亢進か、低下/消失か)を確認し、広範囲な症状と深部反射亢進があれば脊髄症と判断する。
対になる知識
頸椎症性神経根症と混同しやすいが、神経根症は根症状(痛み、しびれ)が主で、深部反射低下・消失や筋力低下に限局性が見られることが多い。脊髄症は脊髄圧迫による広範囲な症状と深部反射亢進が特徴。
関連知識
頸椎症性脊髄症の病態は、頸椎の変性(骨棘形成、椎間板ヘルニア、靭帯肥厚など)により脊髄が慢性的に圧迫されることである。これにより脊髄路の障害が生じ、下肢症状(歩行障害、膀胱直腸障害)や、手の巧緻運動障害(箸が使いにくい、ボタンがかけにくいなど)を呈する。