次の症例で、患者に自由に文章を書かせたときにみられる所見として最も適切なのはどれか。「68歳の男性。利き手の静止時振戦、上肢の歯車様筋強剛、歩行時のすくみ足がみられる。」
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
パーキンソン病の患者では、線条体黒質経路のドパミン神経変性により運動開始や持続が困難となり、書字も徐々に小さく、書きづらくなる特徴的な所見がみられます。これを小字症(micrographia)と呼び、本症例の静止時振戦、歯車様筋強剛、すくみ足といった典型的な症状と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 吃書は言語障害の一種であり、発話のリズムが乱れる症状を指します。書字の異常ではありません。 正しくは:吃音は言語の流暢性の障害であり、書字とは直接関連がありません。書字障害としては失書などがあります。
- 2. 書痙は、特定の動作(書字)時に出現するジストニアの一種で、精神的緊張や疲労などで悪化することが多いですが、パーキンソン病の運動症状とは異なります。 正しくは:書痙は本態性振戦や特定の職業性ジストニアの一種であり、パーキンソン病の症状とは直接関連しません。パーキンソン病では書字全体が小さくなる小字症を呈します。
- 3. 正解。小字症は、パーキンソン病患者に特徴的にみられる書字障害であり、文字が次第に小さく、判読しにくくなる現象を指します。本症例のパーキンソン病を示唆する症状に合致します。
- 4. 自発書字障害は、特定の意味を持つ文章を自力で構成し、書字する能力が障害されることを指し、高次脳機能障害の一部として失語症などに伴ってみられます。本症例の運動症状とは関連が薄いです。 正しくは:自発書字障害は失語症など高次脳機能障害の一部として出現するもので、パーキンソン病の主要な書字障害ではありません。パーキンソン病では文字を構成する能力自体は保たれ、書字の運動機能に障害が及びます。
国試ポイント
パーキンソン病の主要症状(静止時振戦、筋強剛、無動/寡動、姿勢反射障害)と、それに伴う特徴的な書字障害である小字症を結びつけて理解することが重要です。
混同注意
書痙は精神的緊張や特定の動作時にみられる不随意運動であるのに対し、小字症はパーキンソン病の無動・寡動症状の一部として出現し、進行性で一貫して文字が小さくなる点が異なります。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出題された場合、静止時振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害といったパーキンソン病の中核症状が示されているかを確認し、書字に関する選択肢があれば小字症が最も関連が深いと判断します。
覚え方
同様の症例が出題された場合、静止時振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害といったパーキンソン病の中核症状が示されているかを確認し、書字に関する選択肢があれば小字症が最も関連が深いと判断します。
対になる知識
書痙は精神的緊張や特定の動作時にみられる不随意運動であるのに対し、小字症はパーキンソン病の無動・寡動症状の一部として出現し、進行性で一貫して文字が小さくなる点が異なります。
関連知識
パーキンソン病の非運動症状として、嗅覚障害、REM睡眠行動障害、便秘、うつなども重要です。また、抗パーキンソン病薬の副作用についても理解しておく必要があります。