75歳の女性。主訴は右胸痛。4週間前に右胸部に水疱が現れた。投薬で水疱は消失したが、胸痛が残っている。夫の介護で抑うつ感があり、過食、倦怠感、足のだるさもある。舌は胖大、厚膩苔、脈は滑を認める。 治療方針として最も適切なのはどれか。
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
症例は37歳女性で、職場のストレスによる左顎関節痛があり、月経前増悪、胃のもたれ感、胸やけ、嘔気を伴う。これらは脾胃の運化失調による痰湿内停の症状であり、痰湿が経絡を阻滞し、顎関節痛を引き起こしていると考えられる。特に月経前増悪は気滞と痰湿の関連を示唆し、胃のもたれ感、胸やけ、嘔気は脾胃の湿困の典型症状である。したがって、痰湿を除く治療方針が最も適切である。
選択肢ごとの解説
- 1. 心陽虚の症状は、心悸、息切れ、胸悶、顔面蒼白、冷えなどであり、本症例の主訴である顎関節痛や消化器症状とは合致しない。 正しくは:心陽を補う治療は、心陽虚の病態に適用される。
- 2. 胃陰虚の症状は、胃脘部の灼熱感、口渇、飢餓感があっても食べられない、便秘などであり、本症例の胃のもたれ感や嘔気とは異なる。 正しくは:胃陰を養う治療は、胃陰虚の病態に適用される。
- 3. 正解。職場のストレス、月経前増悪、胃のもたれ感、胸やけ、嘔気は、脾胃の運化失調による痰湿内停の典型症状であり、これが顎関節痛の原因となっている。そのため、痰湿を除く治療が最も適切である。
- 4. 気血を巡らす治療は、気滞血瘀の病態に適用される。本症例では月経前増悪があり気滞を示唆するが、胃のもたれ感、胸やけ、嘔気といった症状は痰湿の存在を強く示唆しており、単なる気血の巡りの悪さだけでは説明しきれない。 正しくは:痰湿を除くとともに、必要に応じて理気活血の治療も考慮するが、主たる病理は痰湿である。
国試ポイント
脾胃の運化失調による痰湿の症状と、それが引き起こす疼痛や消化器症状を結びつけて判断する能力が問われる。特にストレスや月経周期との関連性も考慮に入れる。
混同注意
気滞血瘀と混同しやすいが、本症例では胃のもたれ感、胸やけ、嘔気といった消化器症状が強く、これらは痰湿の特徴である。気滞は月経前増悪の原因となるが、消化器症状が主である場合は痰湿がより適切である。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、消化器症状(もたれ、胸やけ、嘔気)と体の重だるさ、疼痛、月経周期との関連性を重視し、痰湿の有無を判断する。
覚え方
同様の症例が出た場合、消化器症状(もたれ、胸やけ、嘔気)と体の重だるさ、疼痛、月経周期との関連性を重視し、痰湿の有無を判断する。
対になる知識
気滞血瘀と混同しやすいが、本症例では胃のもたれ感、胸やけ、嘔気といった消化器症状が強く、これらは痰湿の特徴である。気滞は月経前増悪の原因となるが、消化器症状が主である場合は痰湿がより適切である。
関連知識
脾は湿を好み燥を嫌い、脾の運化機能が失調すると水湿が停滞して痰湿を生じる。痰湿は体内のあらゆる部位に停滞し、疼痛、重だるさ、嘔吐、めまいなどの多彩な症状を呈する。痰湿が関節に停滞すると関節痛や関節の動きの制限を引き起こす。