55歳の男性。数日前からの咳嗽と多量の粘稠な白色痰を主訴に来院した。食欲不振や痩せもみられ、舌苔は淡白膩、脈は滑を呈する。この患者の東洋医学的病証に対する最も適切な治療方針はどれか。
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正解は4番
解説
本症例は咳嗽と多量の粘稠な白色痰、食欲不振、痩せ、淡白膩苔、滑脈を呈しており、「脾虚湿阻(痰湿)」の病証である。脾は運化を主り、水湿の代謝をコントロールするが、脾の機能が低下(脾虚)すると水湿が停滞して痰湿を生じ、肺を犯して咳嗽や白色多量の痰となる。したがって、根本的な原因である脾の運化機能を高めて湿邪を除去することが治療方針となる。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺の気を補うことは肺気虚(息切れ、声の低さ、自汗、舌淡、脈虚弱など)に対する治療方針であり、本病証の痰湿停滞による咳嗽・白色痰へのアプローチとしては不十分である。
- 2. 肝の気うつをスムーズにすることは肝気鬱結(胸脇苦満、イライラ、情緒不安定など)に対する治療方針であり、本病証の脾虚湿阻とは病態が異なる。
- 3. 肺の陰液を十分に滋養することは肺陰虚(乾咳、少痰、口渇、盗汗、舌紅少苔など)に対する治療方針であり、本病証の痰湿を主とする病態には当てはまらない。
- 4. 正解。本症例は咳嗽と多量の粘稠な白色痰、食欲不振、痩せ、淡白膩苔、滑脈を呈しており、「脾虚湿阻(痰湿)」の病証である。脾は運化を主り、水湿の代謝をコントロールするが、脾の機能が低下(脾虚)すると水湿が停滞して痰湿を生じ、肺を犯して咳嗽や白色多量の痰となる。したがって、根本的な原因である脾の運化機能を高めて湿邪を除去することが治療方針となる。
国試ポイント
脾虚湿阻の臨床像(食欲不振、痩せ、粘稠な白色痰、淡白膩苔、滑脈)を把握し、標本同治の観点から「脾の運化を高める」ことが治療方針となる点を選択できるようにする。
覚え方
脾虚湿阻:食欲不振・痩せ・白膩苔・滑脈 = 「脾の運化低下」による水湿の停滞として覚える。
対になる知識
肺気虚の治療=肺の気を補う(息切れ・声の低さ・自汗・脈虚弱) / 肺陰虚の治療=肺の陰を滋養する(乾咳・少痰・口渇・盗汗) / 風寒束肺の治療=風寒の邪を取り除く(咳嗽・痰清稀・悪寒発熱)
関連知識
脾は運化を主り水湿代謝を調節する。脾虚により生じた水湿は「生痰之源」とされ、肺に停まると咳嗽や多量の痰となる。滑脈は痰飲や食滞の存在を示唆し、白膩苔は湿濁・痰湿の典型的な所見である。