下肢の深部静脈血栓が剥離して血流で運ばれた場合、塞栓症を最も生じやすい臓器はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下肢の深部静脈にできた血栓が剥離すると、その血栓は静脈血流に乗って下大静脈、右心房、右心室を通り、肺動脈へと到達します。肺動脈は全身の静脈血が最初に集まる場所であり、血栓が物理的に閉塞する確率が最も高いため、肺塞栓症を最も生じやすい臓器となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 脳塞栓症は主に心臓(心房細動など)や頸動脈から発生する血栓が原因となることが多いです。下肢の深部静脈から剥離した血栓は、通常、肺を通過して全身動脈系に入ることはありません(奇異性塞栓症を除く)。 正しくは:脳塞栓症の原因は、心臓由来(心房細動など)や頸動脈病変由来の血栓が多い。
- 2. 正解。下肢の深部静脈から剥離した血栓は、大腿静脈、外腸骨静脈、総腸骨静脈、下大静脈を経て右心房、右心室へと流入し、最終的に肺動脈へと送り出されます。肺動脈の血管網は細かいため、血栓が詰まりやすく、肺塞栓症を最も生じやすい臓器です。
- 3. 腎臓の塞栓症(腎梗塞)は、通常、動脈血栓が腎動脈に詰まることで発生します。下肢の深部静脈からの血栓は、肺を通過しない限り腎動脈へ到達することはありません。 正しくは:腎梗塞は通常、動脈系の血栓が腎動脈に詰まることで発生する。
- 4. 脾臓の塞栓症(脾梗塞)も腎梗塞と同様に、通常は動脈血栓が脾動脈に詰まることで発生します。下肢の深部静脈からの血栓は、肺を通過しない限り脾動脈へ到達することはありません。 正しくは:脾梗塞は通常、動脈系の血栓が脾動脈に詰まることで発生する。
国試ポイント
深部静脈血栓症(DVT)による塞栓症の好発部位は肺であること、およびその血流経路を理解すること。特に、体循環の静脈路から出発した塞栓子は最終的に肺に到達するという基本原則。
混同注意
脳塞栓症や腎梗塞、脾梗塞など、他の臓器の塞栓症との混同。これらは通常、左心系や動脈系から生じる塞栓子、または奇異性塞栓を介して発生するため、深部静脈血栓とは発生機序が異なります。
次に同じ論点が出たら
「静脈血栓」というキーワードがあれば、まず「肺塞栓症」を第一に疑い、血流経路をイメージして判断します。動脈系の塞栓であれば脳や腎臓、脾臓なども考慮に入れる。
覚え方
「静脈血栓」というキーワードがあれば、まず「肺塞栓症」を第一に疑い、血流経路をイメージして判断します。動脈系の塞栓であれば脳や腎臓、脾臓なども考慮に入れる。
対になる知識
脳塞栓症や腎梗塞、脾梗塞など、他の臓器の塞栓症との混同。これらは通常、左心系や動脈系から生じる塞栓子、または奇異性塞栓を介して発生するため、深部静脈血栓とは発生機序が異なります。
関連知識
深部静脈血栓症のリスク因子(長期臥床、手術、悪性腫瘍、経口避妊薬など)、肺塞栓症の症状(呼吸困難、胸痛、頻呼吸、失神など)、診断方法(D-ダイマー、下肢静脈エコー、CT肺動脈造影など)、および治療法(抗凝固療法、血栓溶解療法、下大静脈フィルター留置など)。