17歳の男子。バイク走行中に転倒し救急搬送。ヘルメットの右外側に傷があり、右肩に外傷がある。右上肢は自動運動不能で知覚異常を認めた。意識は清明、独歩可能、脳神経に異常はない。 身体所見では肘の屈曲・手関節の背屈が不能で、手指の屈曲もできない。上肢の骨折や関節の脱臼はない。損傷部位はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
肘関節の屈曲不能、手関節の背屈不能、手指の屈曲不能という症状は、正中神経と橈骨神経の両方の麻痺を示唆します。これらの神経が同時に広範囲に障害されるのは、腕神経叢の損傷、特にC5-T1レベルでの損傷が考えられます。腕神経叢は側頸部から腋窩部にかけて走行するため、損傷部位として側頸部が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。肘の屈曲(筋皮神経・正中神経)、手関節の背屈(橈骨神経)、手指の屈曲(正中神経・尺骨神経)が複合的に障害されていることから、これらの神経の共通上位幹である腕神経叢の損傷が考えられ、腕神経叢は側頸部から腋窩部にかけて位置するため、側頸部が損傷部位として適切です。
- 2. 腋窩部も腕神経叢の走行部位ですが、選択肢1の側頸部の方がより上位であり、広範囲の神経麻痺を説明するのに適しています。また、腋窩部での損傷であれば、多くの場合、腋窩神経の麻痺症状(三角筋麻痺による腕の外転不能)も伴うことが多いですが、問題文では言及されていません。 正しくは:腕神経叢損傷は腋窩部でも生じるが、より広範囲の症状を説明するには側頸部での損傷がより適切。
- 3. 上腕部での損傷では、複数の主要神経(正中、橈骨、尺骨、筋皮)が同時に広範囲に障害されることは稀です。例えば、上腕骨骨折では橈骨神経麻痺が起こりやすいですが、肘の屈曲不能や手指の屈曲不能を同時に引き起こすことは通常ありません。 正しくは:上腕部で単一の末梢神経が損傷する可能性は高いが、問題文のような広範囲の症状を説明するには不十分。
- 4. 肘部での損傷では、主に正中神経、尺骨神経、橈骨神経浅枝などが個別に障害されることが考えられますが、肘の屈曲(主に筋皮神経支配)まで不能になることは稀であり、手関節の背屈と手指の屈曲が全て不能になるような広範な神経障害は説明できません。 正しくは:肘部での損傷では、正中神経、尺骨神経、橈骨神経などが個別に障害される可能性はあるが、問題文の複数の症状を同時に説明できない。
国試ポイント
腕神経叢損傷の局在診断と、主要な神経(正中神経、橈骨神経、尺骨神経)の支配筋・感覚領域。
混同注意
上腕や肘部の単独神経損傷と、腕神経叢損傷の症状範囲の区別。特に正中神経、橈骨神経の同時障害と、より上位の神経叢損傷の関連性。
次に同じ論点が出たら
複数の末梢神経の広範囲にわたる機能障害が見られる場合、より上位の神経叢損傷を疑い、その走行部位(側頸部〜腋窩部)を判断基準とする。
覚え方
複数の末梢神経の広範囲にわたる機能障害が見られる場合、より上位の神経叢損傷を疑い、その走行部位(側頸部〜腋窩部)を判断基準とする。
対になる知識
上腕や肘部の単独神経損傷と、腕神経叢損傷の症状範囲の区別。特に正中神経、橈骨神経の同時障害と、より上位の神経叢損傷の関連性。
関連知識
腕神経叢の構成(C5-T1)、各神経幹(上、中、下)の構成、各神経(筋皮、腋窩、正中、尺骨、橈骨)の走行と支配筋・感覚領域。