37歳の女性。主訴は左顎関節痛。2か月前から職場のストレスとともに痛みを自覚し始め、月経前には痛みが増悪する。胃のもたれ感、胸やけ、嘔気を伴うこともある。 病証として最も適切なのはどれか。
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出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
設問は『ストレスにより胃脘部が脹って痛み、ゲップが多い』という記載があり、これは情志の不調が肝に影響し、肝の疏泄機能が失調し、肝気が横逆して胃を犯す「肝気犯胃」の典型的な症状である。肝胃不和は肝気犯胃と同義であり、肝の機能失調が胃の気機に影響を与える病証である。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃熱は胃に熱邪が内盛した病証で、症状としては口渇、多食易飢、胃脘灼熱感、便秘、舌紅苔黄などが主となる。設問の『ストレス』や『脹って痛む』『ゲップが多い』といった気滞の症状は胃熱では説明しにくい。 正しくは:胃熱であれば、口渇、多食、灼熱痛など熱証の所見がより明確に現れる。
- 2. 脾胃湿熱は、脾胃に湿熱が鬱滞した病証で、胃脘部の重苦しさや脹満感、食欲不振、悪心、口苦、舌苔黄膩などが特徴である。設問の『ストレス』や『脹って痛む』『ゲップが多い』という気滞の症状とは合致しない。 正しくは:脾胃湿熱であれば、湿や熱の所見(例えば口粘、悪心、泥状便など)が明確に現れる。
- 3. 正解。設問の『ストレスにより胃脘部が脹って痛み、ゲップが多い』は、情志の不調が肝の疏泄を失調させ、肝気が胃を犯す「肝気犯胃」の典型的な症状である。肝胃不和は肝気犯胃と同義であり、肝の機能失調が胃の気機に影響を与えた病証として最も適切である。
- 4. 肝鬱気滞は肝の疏泄機能失調による気機鬱滞を指す広範な病証であり、肝胃不和はその中の一つのタイプである。設問では肝の不調が胃に影響を与えていることが明確なため、より具体的に臓腑間の関係を示している肝胃不和が最も適切である。 正しくは:肝鬱気滞は、胸脇脹痛、情志抑鬱、月経不調など、肝の気滞による全身症状を指す。設問のように特に胃への影響が明確な場合は、肝胃不和と特定することが望ましい。
国試ポイント
漢方医学における臓腑間の関係性と、それによって生じる病証の鑑別が重要である。特に情志と肝、脾胃の関係は頻出である。
混同注意
肝鬱気滞は肝の機能失調による気滞全般を指すが、肝胃不和は特に肝が胃に影響を与えた状態を指す。胃熱や脾胃湿熱は、情志ではなく飲食物や病邪によって生じる熱や湿熱の病証であり、根本的な原因が異なる。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、「情志の刺激」「胃脘部の脹痛やゲップ、噯気」「症状の変動性」などのキーワードがあれば肝胃不和(肝気犯胃)を優先して検討する。
覚え方
同様の論点が出た場合、「情志の刺激」「胃脘部の脹痛やゲップ、噯気」「症状の変動性」などのキーワードがあれば肝胃不和(肝気犯胃)を優先して検討する。
対になる知識
肝鬱気滞は肝の機能失調による気滞全般を指すが、肝胃不和は特に肝が胃に影響を与えた状態を指す。胃熱や脾胃湿熱は、情志ではなく飲食物や病邪によって生じる熱や湿熱の病証であり、根本的な原因が異なる。
関連知識
肝の生理機能(疏泄、蔵血)と、胃の生理機能(受納、腐熟)を理解し、その相互作用から病証を導き出す。ストレスが肝に影響を与え、肝気が鬱滞することで、全身の気機に影響を及ぼすことを覚える。