痙縮
病理学
はじめに
痙縮とは、大脳皮質から脊髄前角に至る上位運動ニューロンの障害によって引き起こされる、速度依存性の筋緊張亢進状態です。脳卒中や脳性麻痺などの代表的な中枢神経症状であり、リハビリテーション医学において麻痺の回復過程を評価する上で重要な指標となります。
何を指すか
痙縮は、錐体路を中心とする上位運動ニューロンの障害によって出現する伸張反射の亢進を特徴とする筋緊張の異常です。急激な他動運動に対して強い抵抗を示し、途中から急に抵抗が抜けるナイフ折り現象が特徴的な臨床所見として観察されます。
病態と機序
上位運動ニューロンが障害されることで、伸張反射が過剰にコントロールされるようになり、筋が過度に緊張した状態が引き起こされます。他動運動の速度に依存して抵抗が増大する点が、この病態の大きな特徴です。
分類と所見
脳卒中後の麻痺の回復過程を示すブルンストロームステージにおいて、痙縮の状態は段階的に変化します。ステージⅠでは痙縮はみられず、ステージⅢでは共同運動随意優位で痙縮が最大となり、ステージⅥでは痙縮が消失し正常に近い巧緻運動が可能となります。
国家試験のポイント
国家試験では、上位運動ニューロン障害による痙縮と、下位運動ニューロン障害による弛緩性麻痺や、錐体外路障害による固縮との違いを問う問題が頻出します。また、ブルンストロームステージの各段階における共同運動や分離運動、痙縮の強弱の組み合わせも重要な定番問題となっています。
間違えやすいところ
錐体外路障害によって起こる固縮と混同しやすい点に注意が必要です。固縮は全関節可動域にわたり均等な抵抗を示す鉛管現象や歯車現象を特徴とし、痙縮で見られるような速度依存性の抵抗増大やナイフ折り現象とは明確に区別されます。