免疫不全

病理学

はじめに

免疫不全とは、生体の免疫力や防御機構が低下し、通常の宿主では感染を起こさないような病原体にも感染しやすくなった状態のことです。高齢者や免疫不全者で特に問題となり、日和見感染症を引き起こすリスクが高まります。

何を指すか

生体の免疫力や防御機能が低下し、健康な状態では病原体を示さないような弱毒菌や常在菌に対しても感染しやすくなった状態を指します。免疫不全に陥った状態は易感染性とも呼ばれ、様々な原因や疾患によって引き起こされます。

病態と機序

免疫不全は、好中球の機能低下や減少、あるいは細胞性免疫や液性免疫の破綻が背景にあります。例えばHIV感染症では、免疫の司令塔であるCD4陽性T細胞が破壊されて細胞性免疫が著しく低下し、重篤な日和見感染症を引き起こします。また、急性骨髄性白血病などの造血器疾患では骨髄不全により好中球などの機能が低下し、免疫不全状態に陥ります。

分類と所見

免疫不全を引き起こす主な病態や因子には、高齢者、糖尿病、悪性腫瘍、免疫抑制剤やステロイドの長期使用、重度熱傷、HIV感染症、栄養失調などが挙げられます。進行した末期状態では、ニューモシスチス肺炎やカンジダ症などの日和見感染症や、カポジ肉腫などの悪性腫瘍を合併するのが臨床的な特徴です。

国家試験のポイント

国家試験では、HIVがCD4陽性T細胞を破壊して細胞性免疫を中心に深刻な免疫不全を引き起こす機序や、日和見感染症の原因微生物との組み合わせがよく問われます。また、白血病における好中球減少や、糖尿病・悪性腫瘍・免疫抑制剤の使用などが易感染性を引き起こす原因となることも重要な出題ポイントです。

間違えやすいところ

肺結核症などの感染症が免疫不全状態の患者で発症しやすい一方で、結核という疾患自体が直ちに全身の免疫低下や新たな易感染性を引き起こす原因になるわけではない点に注意が必要です。疾患の結果として免疫が低下しているのか、免疫低下が原因となって発症しているのかを区別して理解することが大切です。

免疫不全が問われる国家試験問題(5問)

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