運動療法
その他
はじめに
運動療法とは、疾患を持つ患者や障害のある人に対して、症状の改善や機能の回復を目的として行われる身体活動や運動の総称です。安全に実施するためには、対象となる疾患の病態や時期に応じた適切な運動の選択と管理が不可欠となります。
何を指すか
運動療法は、心疾患や変形性膝関節症、脊柱管狭窄症などのさまざまな疾患においてリハビリテーションの一環として実施されます。病状の安定度や障害の特性に合わせて、運動の強度や種類を個別に調整しながら進められる治療手段です。
押さえる内容
心疾患のリハビリテーションでは、運動負荷試験を実施して安全な運動処方の強度を決定し、冠危険因子の改善や生活の質の向上を目指します。変形性膝関節症では、痛みが強い初期や活動性炎症期には関節への摩擦や負荷が少ない等尺性筋力訓練を選択し、大腿四頭筋の筋力維持を図ります。また、腰部脊柱管狭窄症の間欠跛行に対しては、脊柱管を広げる前傾姿勢をとる自転車エルゴメーターや水中ウォーキングが、症状を緩和させながら安全に行える運動療法として推奨されています。
国家試験のポイント
国家試験では、疾患ごとの運動療法の適応や禁忌の区別が頻繁に問われます。例えば、心疾患における絶対的禁忌として急性心筋梗塞発症早期や不安定狭心症が挙げられ、これらに該当する場合は運動療法を行ってはいけません。また、変形性膝関節症の痛みが強い時期には関節を動かさない等尺性筋力訓練を選択することや、脊柱管狭窄症では前屈姿勢で症状が改善する特徴をふまえた運動選択ができるかどうかが問われます。
間違えやすいところ
間欠跛行を引き起こす疾患として腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症がありますが、両者は病態が異なるため注意が必要です。脊柱管狭窄症では前屈姿勢をとることで神経性の症状が改善しますが、血管性の要因である閉塞性動脈硬化症では前屈姿勢をとっても同様の改善はみられないという点に注意が必要です。