病気の解説
テニス肘
別名:上腕骨外側上顆炎
緊急性の高い症状
ひじや腕の痛みに次のような症状を伴うときは、テニス肘以外の原因も考えられます。
- 急に始まった腕の痛みに、胸の圧迫感・重苦しさ・締めつけを伴う → すぐに 119
- 強い痛みで腕を動かしにくい/けがのときに「ポキッ」という音がした、腕の形が変わった/腕がしびれる・感覚が鈍い → 救急外来を受診
- 腕が腫れて高い熱がある、寒気がする/運動すると腕が痛み、休むと治まる → 当日中に医療機関へ相談
出典:英国の公的医療情報(Elbow and arm pain)
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- ひじを休ませて自分でできる対処を2週間続けても痛みが残るとき(英国の公的医療情報)
- 痛みがだんだん強くなる、夜も痛む、日常の動作に支障があるとき
- 手や指のしびれ、力の入りにくさがあるとき(神経の圧迫などテニス肘に似た症状を起こす病気もあります)
まずは整形外科に相談してください。ひじの外側の痛みは、関節炎や神経の圧迫、首の病気などでも起こることがあり、症状だけでテニス肘と判断することはできません。
基本
テニス肘とは
テニス肘は、ひじの外側が痛む状態で、正式には上腕骨外側上顆炎といいます。手首を反らせる筋肉(主に短橈側手根伸筋)が、ひじの外側の骨(外側上顆)に付く部分で傷むと考えられています(日本整形外科学会・米国整形外科学会)。
中年以降のテニス愛好家に多いことからこの名前がありますが、テニスをしない人にも起こります。年代では30〜50代前後に多いとされます(英国の公的医療情報では35〜54歳、米国整形外科学会は30〜50歳)。
多くは休むことで数週間のうちに軽くなりますが、1年以上続くこともあります(英国の公的医療情報)。
関連コラム:テニス肘はどのくらいで治る?治らないときに見直すことと次の選択肢
ほかのコラム:テニス肘でやってはいけないこと/テニス肘のストレッチと運動/テニス肘の注射(ステロイド)/テニス肘かどうか確かめるには?
主な症状
- 物をつかんで持ち上げる、タオルを絞る、手首を動かすといった動作で、ひじの外側から前腕にかけて痛む(日本整形外科学会・英国の公的医療情報)
- ひじの外側を押すと痛む、腫れる、腕を伸ばしきりにくい(英国の公的医療情報)
- 握る力が弱くなる。利き腕に起こることが多い(米国整形外科学会)
多くの場合、安静にしているときは痛みません(日本整形外科学会)。ただし強い場合は、眠りを妨げるほどの痛みが続くこともあります(英国の公的医療情報)。痛みは少しずつ始まり、数週間から数か月かけて強くなるのが一般的です(米国整形外科学会)。
原因・関連する負荷
- 年齢とともに、ひじの腱が傷むことが基本にあると考えられています(日本整形外科学会)。
- 腕の使いすぎで、腱の付け根に小さな傷が繰り返しできることが関係します(米国整形外科学会)。
- 物を握る・手首や前腕をひねる動作の繰り返しが負担になります。例:パソコンの入力やマウス操作、ドライバーを使う作業、裁縫、楽器の演奏、テニスなど(英国の公的医療情報)。
- ラケット競技では、打ち方や用具が合っていないことも負担になりえます(米国整形外科学会)。
はっきりした原因が見当たらないこともあります(米国整形外科学会)。
検査と診断
診断
診察では、手首や中指を反らせる動作に抵抗を加えるなどの簡単な検査で、ひじの外側から前腕の痛みが出るかを確かめます(日本整形外科学会)。必要に応じて、関節炎や神経の圧迫など、似た症状を起こすほかの病気がないかをX線・MRI・神経の検査で確認します(米国整形外科学会)。
治療
一般的な保存療法
まずは手術をしない治療(保存療法)が行われ、米国整形外科学会は約80〜95%の人が保存療法で良くなるとしています。
- 安静:痛みが出るスポーツや作業を減らす
- 薬:湿布や塗り薬、痛み止め(日本整形外科学会・英国の公的医療情報)
- 運動療法:手首や前腕のストレッチ・筋力訓練。自宅での対処で6週間たっても良くならないときは理学療法が検討されます(英国の公的医療情報)
- 注射:局所麻酔薬とステロイドの注射。腱を弱めるおそれがあるため、回数は控えめにされます(日本整形外科学会・米国整形外科学会)
- 装具:テニス肘用のバンド(下の「エルボーバンドの位置づけ」)
保存療法を6〜12か月続けても良くならない場合に、手術が検討されます(英国の公的医療情報・米国整形外科学会)。
セルフケア
- 痛みが強くなる動作をできるだけ避ける、回数を減らす(英国の公的医療情報)
- 温かいパックか冷たいパック(冷凍食品の袋でもよい)をタオルで包み、1回20分までを2〜3時間おきに当てる(英国の公的医療情報)
- 腕の曲げ伸ばしなどの簡単な運動、手首や指のストレッチをこまめに行う(英国の公的医療情報・日本整形外科学会)
- 市販の痛み止めや塗り薬は、添付文書の用法・用量を守って使う。イブプロフェンなどの塗り薬(ジェル)は燃えやすいものがあるため、塗った後は火気やたばこに注意する(英国の公的医療情報)
- ラケット競技をする人は、用具や打ち方を見直す(米国整形外科学会)
エルボーバンドの位置づけ
テニス肘用のバンド(前腕に巻くサポーター)は、保存療法の一つとして挙げられています。
- 日本整形外科学会:テニス肘用のバンドを装着する方法がある。着け方は主治医に相談する。
- 英国の公的医療情報:前腕のストラップや、手首・ひじのサポーターを試してよい(薬局で買える)。
- 米国整形外科学会:前腕の背面中央に着けるバンドが、筋肉と腱を休ませて症状を和らげる可能性がある。
- コクラン・レビュー(2002年):小規模な研究しかなく、効果について明確な結論は出せない。
バンドは痛みを和らげる補助で、テニス肘を治すものではありません。効果には個人差があります。締めつけで手がしびれる・むくむ・色が変わるときは外してください。
整形外科で扱うほかの病気
出典
日本整形外科学会「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」 / 米国整形外科学会 OrthoInfo「Tennis Elbow」 / Cochrane CD001821(2002年)
「英国の公的医療情報」と記した部分: Contains public sector information licensed under the Open Government Licence v3.0.(英語の公的情報を日本語に翻訳・要約して含みます)
内容の確認日:2026-10-12(次回確認予定 2027-04-12)。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。